第3話ー6.5 さらに地上では
「――遅い。どうなってるんだ」
坑道出入り口の前に陣取り、その辺の木箱に腰を下ろし部下からの報告を待つ頭領と呼ばれた青年。
「どうもこうもあるめーよ」
テッカンと、他数名の鍛冶師達は両手足を縛られ1か所に集められていた。
その背後には女忍者が1人で監視をしている。
「儂らは普段から武器だけでなく、己の肉体も鍛えに鍛えておる。素材の為に自身の手で魔物を狩ることもあるんじゃ」
「ほぉ……」
「お前ら如き敵になる訳がねぇ!」
「そうだそうだ! 今なら見逃してやるから、この縄解きやがれ!」
「五月蝿い猿共め――俺達が本気だと分かっていないらしい……テッカン以外の誰でもいい。見せしめに、首を晒せ」
「……ッ」
「おい。聞こえなかったのかハナコ!」
ズンッ――。
「……なぁ、今」
ズズンッ――。
「地鳴りが……」
ズッ――――ドゴォォオオオオオッ!!
一際大きな地鳴りが響くと同時に、坑道の奥から叫び声が聞こえる。
「どいたどいたどいたどいたぁぁぁぁぁッ!!」
「な、なん――」
「ぐもおおおおおおおおッ!!」
鉱山の岩肌が割れ、そこから巨大な
「なんじゃこりゃあ!?」
余裕そうだった頭領もさすがに驚き、上を見上げた。これが良くなかった。
「どいたぁぁ!!」
トロッコに筋肉兄弟とルビィを乗せ、それを地上まで全力で押して走って来たヨーイチは、前が見えてなかった。
「――ぶふッ!!?」
思いっ切りトロッコにぶっ飛ばされた頭領は、どこかへ飛んで行ってしまった。
◇◆◇◆◇◆◇
瓦礫が周囲に散らばる中、身動きの取れないテッカン達はどうする事も出来なかった。
しかし――、
「――カートン=バク!!」
ハナコは両手で印を象り、呪文を唱える。
飛んできた瓦礫を強烈な爆発により吹き飛ばし、テッカン達を守った。
「早く逃げなさい」
そう言うとクナイを複数同時に投げ、縄を斬り解いたのだ。
「……すまねぇな嬢ちゃん」
「いえ。私はあのバカのやり方に納得していないだけです」
「そうじゃねぇ。儂らを助けてくれて有り難うな」
女忍者は無言で頷き、その場から一瞬で消えるのだった。
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