058 tr08, a pilgrim's path/巡礼者の小径

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【AD:2113年, 革命新暦:191年、夏】



「よーメドやんにフーちゃん、熊犬コンビでどーしたー?」

「おうシティアか、相変わらずちんまいな。

ヴォルケインのやつはそろそろ新メニューの訓練に入るとかで、姿見てねぇ。

ナージャは…なんか居ねぇ」

「なんだい、ケンカでもしたかー?

それとも好きなのバレたかー?ウッシッシ」

「ちちげぇよ、そんなんじゃねぇ。

なんかアイツ少し前からトレーニングに顔出さない日が何度かあって、そういう時に決まって変なケガして来るんだよ。

なんだろなーっていま熊公と話してたんだ」

「…そういう時、もしかして甘いような変な匂いさせてる?」

「いや?俺他の連中より鼻良いけど、甘い匂いに覚えはないな。

あ、焦げたようなくっさい匂いはあった」

「そっか、ならあの件じゃなさそうかな。

そういえば、エテのヤツが最近タバコ?葉っぱ燃やす遊びしてるみたいだから、そっち行ってるかもね」

「マジかよ…あいつの10グループ、前にもナージャにチョッカイ出してDDTに締め上げられてたのに懲りねえなぁ。

 しかしなんでエテはナージャにこだわるんだろな?」

「お前と同じで好きなんじゃねー?」

「ちっ、違げーってば!仲間として気になるんじゃい!」

「あーはいはい、それよかメドやんはリザんとこ行かなくていーの?」

「ああ、ダリヤの取り巻きから手紙もらっちゃってなぁ。

 リザからはしばらく大人しくしてろっていわれたからさぁ」

「みんなお盛んやねー。

 エテの方は後で見ておくから、二人とも仲良くなー」



「なぁシャスチー、ハラへった」

「うっせーなシスナタッチ、お前はいつでも腹減ってんだろ!

 オレたちゃ二人ともビツィバット(выживать, 生き残りの意)なんだから、あくせくしなくたっていーんだよ!

 ちっとくらいハラへったって我慢しろい、オマエは俺様の言うこと聞いてりゃいーんだよ!」

「んだけどよー、シティアちゃんみたく厨房いけば、オヤツもらえるし…」

「お前一番でっかいくせに他の巨人組と違って全然運動しねーで食べてばっかだから、こんな腹ばっかりでてんじゃねーか!」

「そういうシスナタッチなんて皆の中で一番ちっちゃいよー」

「うっるせー!チビって云うな!シティアと1cmしか違わらねぇ!

 いーからリズのやつに頼まれた手紙、さっさと07のアジンに渡すぞ!

 あいつも何処にいるか分かんねぇからな。

 終わったら厨房行くからよ、んでオヤツもらおーぜ!」

「わかったよー、シスナタッチが一番くすねるのうまいもんなー」

「へっ、任せときな!」



「…ナージャ、なんでアンタあんなエテ公の呼出付き合ってんのよ。

 すっかり子分扱いしてんじゃない」

「言われるがまま何かしているわけではない。

 他の連中に絡むよりは良いから、黙って見ているだけだ。

 アジンこそ、07の他の連中を抑えなくていいのか」

「いーのよあんなヤツら、早かれ遅かれ処置室行きよ。

 普段からやりたい放題なんだから。

 アンタといい11と12のチビデカコンビといい、グループ内単独の生き残り連中は気楽でいーわねー」

「10グループもサルだけだが、特に実害はないからな。

 小物の戯言くらい、放っておけばいい」

「アンタも人がいいわねぇ…

 それよか、ヴォルケイン様どうしちゃったのよ!最近居ないじゃない」

「新規格のトレーニングに行っていると云ってたな。

 身体が慣れればまた訓練場に来るだろうから、少し待て」

「あの人実は年上なのよねー、大きいし寡黙だし頼りがいありそう!実はカイ×アベもあり?」

「隠れて見るばかりでなく、シティアのように積極的に話せば良いではないか」

「もー乙女心の分からない奴ね!アンタほんとに同じ女の子かしら?!」

「絵をかいてばかりで、じっとしてばかりなのはどうなんだ」

「う…い、いいのよそれは…

 わかったわよ、次見かけたら話しかけてみる。

 アンタもエテ公ばっかり相手にしてないで、熊犬コンビもかまってあげなよ?

 特にワンコ、淋しがってたわよ?!」

「?前は毎日会ってたし、今だって用があれば会うが?」

「分かってないなー、フセスもかわいそうに」



「リザどの分かって下され!我輩こそ貴女に相応しいのですぞ!」

「何云ってんのよ気持ち悪い。

 グリゴリ、ドラクル引き取ってあっち行って」

「ふんが」

「ちょ、ちょっと待ってくだされ!

 今回は本物のすごい奴を見つけたんですぞ!

 これこのオオキバセンチコガネ!」

「なにそれ?」

「こ奴はフンコロガシの一種、普通は牛や馬の糞や動物の死骸に集まるスカベンジャーでしてな。

 我輩も図鑑でしか見たことなかったのが!別棟の裏庭を通りがかったらたまたま地面にいるのを見つけましてな!」

「…おかしいわね、小鳥の死骸くらいは偶に見るけど、ここの施設内で糞や動物の死骸にたかる生き物?」

「周りに糞の臭いは無かったですが、変な甘―い匂いは漂ってましたな!

 それよりこのでっかいキバ、オスに違いありませぬ!リザどのに相応しいカッコよさですな!

 これを捧げますぞ!」

「アンタ、事の大きさが解かってないでしょ…

 前々からおかしいと思ってたけど、01と02だけ特別待遇で別棟に住んでるのも気に入らないし、ちょいちょいダリヤたちがあっちの方行くのも気に入らない。

おまけに、糞や動物の死骸にたかる昆虫ね。

 まあ、今回は許してあげるわ。

 二人とも一緒にいらっしゃい、これから現場見に行くわよ」

「ははーっ!有り難き幸せ!」

「ふんが」

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