第257話 強さ


「は……はぁっ! はははっ! うれしいぞ、松代まつしろぉ……!」


 上松が血走った目で言う。

 アドレナリンが過剰分泌してるのか、目がらんらんと輝き、それでいて獣のように荒い呼吸を繰り返してる。


 ハイになってやがるぜ。


「我は……求めていたのだ! このような強敵と相まみえる瞬間を……!」


 ……口ぶりからすると、ここまでやる相手とは、やったことがない、らしい。

 となると……ちょっと変だな。


「おまえ、怪異って知ってるか?」

「無論だ。あれだろ? あの……なんだ……その……あれだろっ?」


 知らない様子だ。

 ……怪異を、知らない?


 このバトルジャンキーっぽい女が、怪異を知らないとかありえるのだろうか……。

 ちら、と俺は島内のほうをみやる。


 やつは……微笑んだままだった。

 ……なんだその意味深な笑みは。


 まあいい。今は、判断材料が少ない。

 それに……どうでもいいことだしな。


「さぁ……! まだまだ殺し合おう! 松代まつしろぉ……!」


 雪女とともに、こちらへとやってくる上松。

 雪女が手刀を放つ、そして、資格となった場所から上松が霊剣をたたき込んでくる。


 俺は右手で霊剣を、左手で雪女の手を掴む。

「な!? ば、バカな……我が攻撃を見切ったというのか!?」

「ああ。ま、おまえ中々強かったよ。こっちの世界で、初めてまともな強さをもった人間に出会ったさ」


 ダメージも喰らったしな。

 下手したら、桜鬼かいいよりも、手強かった気がする。


「でもな、悪いな。向こうの連中と比べたら……おまえはまだまだ、だ」


 妖刀の睡眠毒を発動させる。

 その場に上松がどさり……と崩れ落ちるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る