プロローグ00

 

 そこはすでに、死体の山。

 だったはず。


 それがどうしたことか、まだ二人生きていた。

 死にかけのくせして、折れ曲がった足を支えながら、なんとか息をしているのだ。


 苛立たしい。

 どうして、そこまでの死を受けておきながら、生きていられる。

 図々しいにもほどがある。



「それ以上生きないで。早くお二人とも、喉を深々と突き刺して死んでくださいよ」



 湧き上がる怒りを抑えながら、これが多分最後になるであろう人類最後の会話を試みる。ただ殺して終わるのも、つまらないから。



「はっ。そう言われて…本当に死んでみせる奴がいるか」

「……」


 かつて同じ部隊クラスとして、適当な仲間ずらをしてきたこの二人が生き残ったということは――――まさかまさかの運命かもしれない。



「そう? 自死するのが嫌なら私が、責任を持って汚く綺麗に殺してあげる。それはもう見事な殺戮劇を、人類最後のハッピーバースデーとともに開演を」


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