第38話 『第2じごくステーション』 その2
そこは、明々と、様々な明かりや焚き火が燃え盛っていたのです。LEDみたいなものもあり、昔の白熱電灯みたいのや、ろうそく、焚き火、ネオン、(危険な)水銀灯、蛍光灯、すべての明かりが集大成しているみたいです。色も様々でした。
ネオンサインは『JIGOKU』とでっかく表示していました。
『うつくしいな。』
ふと、ぼくは、思いました。
たしかに、コンビナートの夜は美しいけど、中で行われている化学的な処理とか物理的な処置とかは、美しさとは縁がないのかもしれない。
しかし、数学者さんは、数式は美しいと思うらしい。
ならば、地獄が美しく見えても、さしておかしくもないのかもしれない。
まもなく、汽車は止まりました。
『それでは、第二次審問会を始めます。』
アナウンスが入りました。
『はー?』
『会場は、ここです。降りる必要はございません。』
『なんと。』
まさしく、その、地獄の展示場というべき場所の、ど真ん中であります。
様々な責め苦が、目の前で、行われています。
『審問委員長は、地獄の管理課長さんです。地獄の仏と呼ばれる方です。補佐人として、業火係長と氷結主任が同行します。』
それはもう、アニメみたいなものであった。
スーツ姿でファイルを抱えているのは、管理課長さん。
燃え盛っているのが業火係長。凍りついているのが、氷結主任なのだとは、すぐに判ったのです。
なんとも言い難い、熱気と冷気が、女媧氏と伏羲氏みたいに絡み合いながら、わんさと伝わってきました。
『難しくありません。』
管理課長さんが、穏やかに言った。
『みなさんは、質問に答えるだけです。正直に答えても、うそを答えても構いません。その事自体は、なんら、結果には影響しませんから。』
『なんだろう! それは?』
ぼくは、はなはだ疑問に感じたのでした。
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