第22話 『ちんもくステーション』 その6


 そう。たしかに、ここは、ぼくの理想の世界かもしれません。


 しかし、これは、夢なのです。


 夢とは、儚いものです。


 目覚めたら終わりますからね。


 終わらない夢がありうるのでしょうか?


 そこんところは、まだ、分からない。


 人間が天国や地獄を想像したのは、だから、なんとなく、分かる気はするのです。


 『では、お店に取りに行きましょう。』


 おばさんは、ぼくとおじさんを連れて、駅に降りました。


 駅にはきちんとライトが入っていましたが、一応設置されている電光発車時刻表には、『現在予定なし』と、表示されていました。


 駅員さんの姿はなく、改札は閉じられていましたし、チケット販売機も『販売予定なし』となっています。


 キオスクは、いまはシャッターが降りていますが、おばさんは鍵で扉を開けて、お弁当を2つと、お茶を2つもってきてくれたのです。


 で、降りたときには気がつかなかったのですが、例の待合室の前に、女性がひとり座っていたのです。


 小さなテーブルを出していて、黒服に黒いベールを被っておりました。


 『運勢占います。一回200ドリム。』


 と、看板が置いてありました。


 『あらあ、さっき、いたかしら?』


 『いやあ。気がつかなかったなあ。』


 と、おじさんは言います。


 『来たばかりなのでしょう。』


 と、キオスクのおばさん。


 『来た。って、どこから?』


 『さあて? 本人に訊くべきですわね。』


 『もしかしたら、そとに出入りするなにか、あるのかもしれませんね。わたしには、関係しませんが。』




           🚇️












         


 


 


 

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