魔法陣

「魔法陣、調べ終わりましたよ」

「それでどうだった?」

「うん。これね、転移魔法が使われてるみたいですね」

「転移魔法!?」

転移魔法とは物や人などを移動させるかなりの高等魔術だ。

「ならば転移先はどこだ?」

「新しい井戸ですよ」


古い井戸から感染症が発生したとして、そこが疑われることは少ない。だが、新しい井戸には浄化魔法で浄化された水が溜められているため、それが原因で感染症が起こることはまずないので別の原因を疑われやすい。だからこそ、誰かが意図的に古い井戸に魔法陣を作り、それを新しい井戸に転移させることで感染症を引き起こしたということだろう。


しかし…それにしても…

「そんな高等魔法、かなりの魔力量が必要なのでは?」

「いや、そうでもないね。あくまで運ぶのは水だから。物や人、特に人の場合はかなりの魔力量が必要ですけどね」

どうやら液体の分、そこまでの魔力量は必要とはしないらしい。


古代魔法には謎めいたものが多い。悪用もされやすいため公にはなっておらず、秘匿されている。そんな古代魔法が使われたのだ。一体誰が何の目的で…。


とりあえず今回の件を国王に報告するため、一旦帰路につくことになった。


そして、王宮に到着し、報告を済ませた。秘匿されている魔法が使われていたこともあり、国王が内密に調査するように指示した。


僕は今回の結果が分かるまでは王宮に滞在することになった。レオンには早く会いたかったが、こればっかりは仕方がない。できるだけ早く調査が終わることを願っている。

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