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……二人のうちのどちから一人を選ぶ?
つばさやひかりはひまわりのことをお母さんって呼んでいるのに?
ずっと探していた友達に出会えて、ようやく、手紙のやりとりだけじゃなくて、本当に顔と顔をあわせて、手をつなげる友達になったつばさとひかりを引き離すことになるのに……。
ここで離れ離れになったら、もしかしたら、もう一生出会うことができなくなるかもしれないのに……。
ジラはつばさとひかりの顔をそれぞれ順番に見る。
ひまわりはつばさやひかりのことを家族じゃないと言い切っている。でも……。
「つばさちゃん。ひかりちゃん。あなたたちはさ、ひまわりのことをどう思っているの? ひまわりとあなたたちは家族だと思っている?」とジラはひまわりをにらみつけながら言った。
「はい。思っています。ひまわりお母さんは私たちのお母さんです」とつばさとひかりははっきりと声をそろえてそう言った。
二人の幽霊の女の子たちはぎゅっとそれぞれジラの左手と右手を(おそらくは無意識に)にぎりしめる。
『ジラ。ひまわり博士の提案は悪い提案ではありません。任務のことを考えるのなら、ひまわり博士の提案を受け入れて、どちから一人を選ぶ選択をして、幽霊ホロウの実験体そのものをもちかえるのが一番の選択だと考えられます』
ジラの耳元でみちびきがいう。
『……。でも、ジラ。あなたはその選択をおそらくは絶対にしないのでしょうね』と小さく笑いながらみちびきは言った。
「イエス。正解だよ。さすがみちびき。よく私のことをわかっているね」
『はい。ジラ。私はあなたのパートナーですから』とみちびきは言った。
ジラは身をかがめて、力をためて、臨戦態勢にはいった。
……。武器は捕獲用の電気ロープの鞭のみ。
これで、ひまわりにこれからおしおきをしないといけない。
ジラは腰のバックから電気ロープの鞭を取り出してスイッチを入れた。バチっ!! と青白い電気が床の上で弾けた。
「残念です。ジラ」とはぁ、と大きなため息をついてからひまわりは言った。
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