最弱インキュバスは自家発電で成り上がる!

明和里苳(Mehr Licht)

第1章 引きこもり編

第1話 プロローグ

(なんじゃこりゃあああ!!!)


 俺は声にならない叫びを上げた。叫ぶわけにはいかなかった。古参メイドのマーサが隣に控えていたからだ。




 俺は、メイナード。今年魔族学園を卒業した、マガリッジ伯爵家の第一子だ。だが俺はしがない淫魔で、突出した能力も持たず、婚約していた令嬢にも見限られ、こうして領地に戻って、ひたすら引きこもっている。そして第一子だからといって、俺が伯爵家を継ぐわけではない。俺には優秀な弟マーヴィンがいて、現在学園に在学中。第二王子の側近を務めている。彼は父と同じ不死種ヴァンパイアであり、高い魔力を誇る。いずれ弟が家督を継ぐことになるだろう。俺は、弟が家を継ぐまでの居候。彼が戻って来るまでに、いずこかの下級貴族家に婿入りするか、平民落ちして弟の補佐として働くか、それとも家を出てどこかでのたれ死ぬしかない。そして四天王の中でも最弱の俺には、その三つの選択肢のうちの三つ目しかないわけだが。てか四天王とか盛りましたごめんなさい。


 そんな俺が、なぜ声にならない叫び声を上げることになったのか。事は二日前にさかのぼる。

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