お題【硝子の夏】、【傾いた】、【走り出す】

君といた夏を思い出す。青い、どこまでも青い世界の中に君がいて、僕もいた。

傾いた日差しが青い世界を柔らかく赤く染めていって、君の横顔、風になびく長い髪、その暑さ。全部全部僕の中にある。

硝子細工のように、触れたら壊れそうな硝子の夏。でも、取り出して眺めることをやめられない。あの時の景色、君の姿、夏空と雲。全部、全部。

あの時、走り出す君を止められなかったことを、僕は一生悔やむだろう。

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