お題【風変わりな妻】、【春の】、【空ける】

冬の王は春の乙女を乞うて妻にした。

春の乙女は風変わりな妻となった。白を好む冬の城の中でひとり、色とりどりを身に纏う。王が何を話しても穏やかに微笑む。すると周囲にたくさんの花びらが散る。冬の城でそこだけ陽だまりができたよう。

王が所用で城を空けると妻はたいそう寂しく感じ、毎日窓を開け雪空を見て帰りを願った。

城から離れた王の元には花びらのような雪が降る。それを見て王も妻を思った。

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