リンクブレイカー繋がりを断つ者 ――情報屋LBの事件ファイル――

他津哉

プロローグ

第零話「三年後の今 ――プロローグ――」


 情報とは何かと言われたら俺は繋がりと答える。それ単体では意味をなさず誰かが知り利用する事で初めて価値を持つ繋がらないと何も出来ない役立たずだ。


「弱いな……人間と同じだ」


「でも、それって何でも一緒じゃない? 絆とか愛も同じで二人居ないと感じることができないよ?」


 俺の考えを真っ向から否定するのは幼馴染の夏純だった。昔は暴走しまくっていたのに今は割と普通なことばかり言う元変人だ。


「下らない、それらも情報に過ぎないという話だ」


「変わっちゃったね……ハル」


「……こんな下らない能力のせいで変わったんだよ俺は……」


「ハル……」


 原因の一つはコイツだ。幼少期から高校時代そして家出して独立した今も俺は、この下らない絆や繋がりのせいで振り回されている。


「それより今日の依頼は?」


「えっと三件、人探しが二件と残りが……素行調査……かな?」


 夏純がメールボックスの中身を読んで行くが俺の頭の中の予定表とピッタリ一致した。なら二件はすぐ終わる。だが素行調査は面倒だ直接動く事が多いからだ。


「じゃあ素行調査は資料整理を頼む、人探しは五分で終わるからな」


「うん、でも、これなんだけど……」


「ターゲットが町単位って、測量でもやれってか?」


 メールを見ると岩下町という町の裏事情を調べて来いと書いてあり、ご丁寧に地図まで添付されていた。


「でも報酬凄くいいよ、前払いでこんなに!!」


「マジか……って依頼主がオッサンじゃねえか!?」


「ああ、あのお金持ちのおじさま?」


 依頼をして来たのが面倒事を定期的に持ち込む男だ。複数の企業を持ってる金持ちで俺のスポンサーの一人だ。これも以前の事件のせいで出来た繋がりだ。


「そうだ……どうせ無茶ぶりだろ、こんなの却下したいが……」


「でも春日井さん経由のお仕事だよ、ハル?」


 おまけに逃げられないように俺の師匠みたいな人まで使って来た。


「仕方ない……貧乏暇無しだ、実家には頼りたくないし」


「うちの実家はいつでもオッケーだから!!」


 それじゃ意味無い。何のために家出したのか分かったもんじゃない。


「三年前から随分と変わったよな俺も……世界も」


 しみじみと俺は三年前を思い出していた。まだ大学生だった俺は情報屋もバイト感覚でお遊びだった頃の話で俺がプロになる前の話だ。あの時、俺は家出して夏純とも離れ一人で、とある事件と関わっていた。

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