第7話 Side LU - 531 - 7 - だいとしょかん -

Side LU - 531 - 7 - だいとしょかん -



「ここが新王都大図書館っすかぁ・・・ボク初めて来たっすよ、5階建て・・・かな?、・・・あ、飲食スペースもある、それに昇降機があるんっすね、良かったぁ、階段で5階はきついっす」


「うん、昇降機もあるし階段も動くの、一部の通路は床が動くよ、5階建ての広い館内に本がいっぱい詰まってるんだぁ、僕は本が好きだから1日いても飽きないよ、それにね、1階は図書館じゃなくて新品の本も販売してるの、お家の「エンタァ・ネトゥ」端末から注文を入れておくと、取り寄せてくれるんだよ、ほら、この引き換え番号と身分証を見せるの」


「へー、凄いっすね、お嬢・・・じゃなかったルシルくんはどんな本を読んでるんっすか?」


「主に魔導書かなぁ・・・それからこの国の歴史本や、白銀の大魔導士様についての文献も読み漁ってるの、あ、もちろん小説も読むよ」


「ルシルくんは本当に白銀の大魔導士様が好きなんっすね」


「うん、すっごく尊敬してるんだぁ、だから大魔導士様の事ならなんでも知りたいの!」


新王都のネオ・ローゼリア中央駅から魔導列車で1駅、僕達は王立大図書館に来ました。


シアさん・・・アーシアさんはまだ来た事がないって言ってるけど、この図書館は王都の情報発信地、ここに来ればほとんどの本が揃うし最新の雑誌も手に入るの。


2階には沢山の「エンタァ・ネトゥ」端末があって、有料だけどお家に端末を持ってない人はみんなそこで情報を集めたり、ゲームをしたり・・・、本当に楽しい場所なんだ!。


「さて、先に借りてる本を返して来るね、シアさんはどうする?」


「え、護衛なんだから当然ついて行くっすよ、ボクから離れちゃダメっすよ、ルシルくんに何かあったらボクお父様に殺されちゃうっすよ」


「・・・いくら団長さんでも実の娘にそんなことしないでしょ」


「・・・」


「え、・・・するの?」


「・・・訓練中に2回くらい心臓が止まったっす・・・、それでお父様が慌てて掌圧で胸を「ぬんっ!」ってやると動き出したらしいっす」


「わぁぁ!、それもう訓練じゃないよ、僕から団長に言っておこうか?、僕じゃ立場が弱くて言うこと聞いてくれないかもだけど・・・」


「いえ、これはボクを鍛えてくれてるお父様からの愛の鞭っす、それに最初は殴られて泣くくらい痛かったっすけど、最近はなんか・・・身体がゾクゾクって気持ちいいんっすよ、不思議っすね」


「・・・まぁ、シアさんが良いなら僕は何も言う事はないけど・・・」



ポーン・・・四階、技術書、魔導書、学術書フロアです。


ガシャン・・・


「おぉ・・・ここの昇降機、速いっすね」


「絨毯も高そうだし壁や扉の装飾も凝ってるし、王国の威信をかけて作ったって、お兄様が言ってたなぁ」


この新王都の建物のほとんどはここ数十年のうちに建てられた近代的な建物、高さも10階や20階建てだし各建物が中空で繋がっててデザインもモダン、だけどこの図書館は重厚な雰囲気を残してるの。


なんでも旧王都の大図書館を再現したそうで、広い敷地を贅沢に使った設計のレトロな外観、中は本がぎっしり詰まった書架が並んでて威圧感がすごいの、でもここの静かな空気が僕は好きだなぁ。





「おや、ルシルくん、返却かな」


「はい、ジョゼさん、帰りにまた何冊か借りようかと、あ、シアさん、こちらはこの図書館の司書さんで副館長のジョゼッフォ・ヒンニュウスキーさん、いつもこの4階にいるの、ジョゼさん、こっちはボクのお友達でシアさん、これから時々一緒にここに来るからよろしくね」


「よろしくっす」


「あぁよろしく・・・、ここは剣の持ち込みは特に制限はないけど、小さな子供もいるし危ないから抜かないでね」


「はい、わかりましたぁ」


「あ、そうだルシルくん、探して欲しいって頼まれてた小説見つかったよ、エリーゼ・シルフィー著「魔導士様との日々」これだよね」


「わぁ・・・見つかったの?、すっごい昔の本だからもう現存してないかと思ってたんだ、それ貸し出しできるかな?」


「もちろん、私もちらっと読んだけど面白いね、ただ希少な本で取り扱いレベルは5、他の人達にも読んでもらいたいからしばらくは短期の貸し出しになるけど、良いかな」


「はい、大丈夫です、貸し出し期間は最大5日間でしたっけ」


「あぁ、そうだね、返却期限に遅れたら1日ごとに料金が発生するから気をつけてね」





「さて、他に借りる本を選ぼうかな、・・・あ、ジョゼさんは僕の性別が女の子だって知ってるから」


「あ、身分証を見せるからバレるっすね、了解っす」


「ふふふふーん」


「ご機嫌っすね、ルシルくん、その本そんなに面白いんっすか?」


「人によるかなぁ・・・この本を書いた人はね、全く世間に知られてないんだけど、僕のご先祖さま、エリーゼ・シェルダンだって思ってるの、彼女は白銀の大魔導士様と仲が良かったし、40歳を超えてから小説を書き始めたってお家の文献に残っててね、まだ知られてない大魔導士様の秘密が書かれてると良いなぁ・・・って」


「そうなんっすか、じゃぁ何か分かったらボクにも教えて欲しいっす、あ、そうだ、ボクのご先祖さま・・・シャルロット・ブルナカノンも昔、白銀の大魔導士様の護衛をしてたらしいっすよ、うちの書棚を探したら日記か何か出て来るかもしれないっすねー」


がしっ!


「わぁ、どうしたんっすかルシルくん、そんなに肩を掴んだら痛いっす」


「・・・それ読みたいの、シアさんのお家行っていい?」


「まだあるかどうかもはっきりしてないっす、時間が空いたら誰かに手伝ってもらって探してみるっすよ」


「うん、お願い!」

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