第2話【密会】

子供だったとはいえ4歳で人生を左右されるなんて思いもしなかった。

わたくしの道は2歳の時には決まっていたんでしょうね。

ロゼ……。

それがわたくしの男性としての名前。

人生とは上手くいかないことだらけ……。

それもわたくしの人生だと胸を張って生きれるように強くならなきゃ。

そして8歳の時第1王子が我が家にやってきた。

わたくしがまだ男性として生きないから極秘での顔合わせ?とか言われてたわ…。

彼が居なければお兄様達は………。

王子様が悪いわけではないのだけど…。

つい恨みたくもなってしまう。


「ごきげんよう。

お初にお目にかかります。

ロゼリア・レオナルディでございます。」


学んだとはいえぎこちないカーテシー。

王家の方に会うなんて初めての事で社交デビューもまだなのだから許して欲しい。


「初めまして。

顔をあげていいよ。

君が……あの2人の妹なんだね。」


緊張しながらゆっくりと元に戻る。


「はい…。

お兄様達も王子様の騎士であったとお父様からは聞いております。」


「とてもよく出来た騎士だった…。

王家の争いに巻き込んで君から兄上を奪ってしまいすまなかった。」


「いえ…。

わたくしは大丈夫です。

今後はわたくしが王子様をお守りします。」


「……っ!君が!?

でも……君は……。」


「極秘で今お会いしているのはわたくしがまだ女性のままだからですわ。

わたくしが10歳になった時王子様は王太子になりますでしょ?

その時他の家門の方や王家に対しわたくしは男性として現れることになりますわ。」


「いや……しかし…。」



王子様は苦虫を噛み潰したような顔をしている。

わたくしとは4歳しか離れてないといえ…女性としてでなく男性としてその時には剣の腕も上がっているはず……。

きっと王子様をわたくしが守ってみせる。



「王子様はわたくしより4歳年上ですし、お兄様達より衰えていてもわたくしは腕を磨きお兄様達のようになりますわ。

それに……淑女としてのわたくしを見れるのはそんなに長くないのですから。」


「君の人生まで狂わせてしまったんだな…。」


「気にしないでください。

我が家は王家にとって剣であり盾でもあるのですから。

わたくしはどこかに嫁ぎ王家を影ながら支えるのでなく側に仕える事になるだけですわ。

お父様から聞かされた時わたくしは納得出来ませんでしたが、今はわたくしが自分でこの人生を選んだのです。」


「そうかぁ……。

君の兄上達は私より年上だったな…。

君を見ていると懐かしく思えるよ…。

私の弟は私と1つしか変わらない。

私が王太子になった時弟の側近共が動くかもしれない。

君に負担をかける事になるが私の剣と盾として君を受け入れよう。」


「王子様、ありがとうございます。

わたくし必ずお守りいたしますわ。

必要とあらば淑女としても働きます。

わたくしを騎士として扱うのも淑女として扱うのも王子様次第ですわ。」


「そうしよう。

君は綺麗なオッドアイをしている。

もし君に淑女としての役割も与えるならばピンクの瞳は騎士の時は隠すといいかもしれない。

片目で過ごす不便さも増すが性別を悟らせないには必要だろう。」


「そう致しますわ。

片目での生活に慣れさせれば問題ございませんわ。

不便なのはきっと慣れるまでの間だけです。」


「面倒をかけるな。」


「王子様が気に病む必要はございませんわ。

わたくしはわたくしが成すべきことをするだけです。」


そんな感じで密会は終わったんだった…。

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