第4話 初めての略奪
そうか...コイツは親も暮らしもそしてこれからの生きる道までも奪われてしまうのか。そう思うと前世の自分に重なって情が湧いてきた。
「お前、このまま奪われるのは嫌だよな」
黒蜘蛛くんは瀕死ながらも強い意思の籠った目で俺を見る。コイツらには奪わせない。この子の生きる道をッ。
その瞬間、俺の身体は軽くなった。逃げるなら今だろう。ここはあいにく薄暗い森の中、まだ見つかっていないのでそっと後ろへと跳ぶ。足音、服の衣擦れ、息遣いに至るまでも俺からは一切音がしなくなる。それでいて周りの音、あの2人組の声や足音、風に揺れる木々の音。俺を取り巻く環境の音全てが鮮明に聴こえる。あぁとても心地いい俺は今世界の一部になったみたいだ。
そうして逃げること数十分、時間にしては相当な距離逃げてきたように思う。ちょうど木陰に綺麗な水が湧き出ていたのでそこに黒蜘蛛くんを下ろす。するとちびちびと水を飲み出した。俺もだいぶ疲れたので水を頂こう。
その水を口にした瞬間、疲労感が吹き飛んだ。
「何だこの水ッ!か、鑑定ッ」
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・森林の恵 神森水(上質)
効果:口にしたものの疲労感、傷を癒す。しかし多量摂取すると魔力暴走を引き起こす。主に薄めて回復薬等に用いられる。
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「あっぶねぇ...口にしたのが少しで良かったぜ、魔力暴走ってよくわからんがしないに越したことはないからな」
ふと黒蜘蛛くんを見ると傷が癒え完璧では無いもののある程度は回復したようだった。
「良かったな、これからはお前の生きたいように生きるんだぞ?俺はこの森で一生過ごす気はないからな、悲しいけどお別れだ。」
ここがどこかも分からないし、特にこれといった目的もないが前世はれっきとした日本人、森で生きてゆくつもりは毛頭ないしこの世界には人がいることもわかったので人里を目指しとりあえず歩き出した。
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初めまして、作者の黎乃です。挨拶が遅れてしまい申し訳ないです。この作品は私の初の作品となっています。改善点だらけだとは思いますが良ければコメントやハートお願いします。まだ改善点ありましたら教えて貰えるとありがたいです。よろしくお願いします(>人<;)
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