うみときみ
双葉紫明
第1話
「ねえ?」
「うん?」
「水平線って、水平じゃないといけないのかしら?」
「うん。だいたいは、そうじゃないかな?」
「だいたいそうなの?」
「うん。だいたいそうだ」
「だいたい、そう?」
「うん。だいたいそう」
「なあんだ」
「へえ?」
「あなたにはガッカリ」
「うん、それなら僕もガッカリだ」
「だいたい海はいっつも動いてるんだよ」
「そうだね」
「だからさ、ヘンカしてるんだよ」
「ポケモンみたいに?」
「それはシンカ」
「へえ」
「動いてるものの高さが一定だって有り得なく無い?数ミリでもさ」
「そうかもしれないね、あ、あそこ、少し出てるね」
「どこ?」
「あそこだよ、ホラ、あそこ!」
「どこどこ?」
「あそこ、あそこ!」
「あそこって、わたしの身体で例えたら?」
こうして僕たちは、いつでも愛しあう準備を整えた。
そうして私は、でこぼこを彼に均された。
ふたり、ただ海に漂う小舟みたくて、それが誰かが望む水平線を乱すのだろうか?
そんな風に思った。
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