イケメン美少女女子高生♂はヒモ生活のためお嬢様を落としたい

超人間不信

序章 来栖 千晴は女子高生♂

 皺一つない純白のワイシャツにキャメル色のブレザー。

 丈を短く調節した紺のスカート、胸元で踊る赤いリボン。

 そして出来物も毛穴もシミ一つないつるつるの雪肌、黄金比で設置された目鼻立ち、脚の長い洗練されたスタイル、ヘアアレンジを施した明るい髪色のボブヘア。

 じっくりとこちらを品定めするように頭の先から爪先まで見てくる鏡の中の絶世の美少女と目を合わせて、思わず頷く。


「うん、今日も完璧」


 呟いた声すらアルトソプラノの鳥の唄声のようだ。

 誰が見ても文句の一つ付けようもない、いや寧ろあまりの可愛さに言葉を失い、視線も意識も奪われる完成度、自分の美貌に大満足だ。

 これこそ史上最高のパーフェクト女子高生。


 もしそれに唯一欠点があるのだとしたら。


「僕が女じゃなくて、男ってことくらいだな」


 鏡の中で、自信満々の僕——来栖くるす 千晴ちはるが悪戯気に鼻を鳴らして笑っていた。

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