第8話 

「あ!料理長!昨日ぶりですね!」

黒崎と一緒に食堂にやって来た三崎が山盛りのカレーライスを手に持ち席が空いたのを見て、ちょうど席空いた黒崎の近くに座る。

余談だが、カレーを購入するとナンか白米が選べるようで黒崎はナンで三崎は白米を選択していた。

「おぉ、三崎か、相変わらず元気だなぁ」

付け合わせのキュウリモドキの漬物をポリポリと食べながら話を聞く役に徹する黒崎

「料理長の料理のおかげですよ!」

三崎は黒手組に来た当初は調理部に所属していた為、

「そう言ってもらえると料理人としては嬉しいってもんよ、おっと渡し忘れるところだった。」

そう言うと料理長は三崎用に作っておいた弁当ととある本を取り出して三崎に手渡す


「頼んでいた弁当、と本…この本もしかして」

「おう、三崎が前に欲しいって言っていた魔導書だ」

魔導書、それは魔法使いが探してやまない物の一種

この世界の魔導書は魔法を使う際に必ずと言っていいほど必要な魔法媒体の事である。しかし魔導書には魔法を1種類しか載せれない為に最近では魔法を記憶させた杖の様な魔法媒体を使うのが主流である。

「おぉ!ついに届いたんですね!」

わーいわーいと喜び踊る三崎。それを生暖かい目で見る三崎の同僚達

そんな中、黒崎は三崎の肩を叩き、ニコリと笑顔を見せる

「三崎、余りここではしゃがない方がいいんじゃないかな?」

謎の凄みを見せる黒崎にビビったのか、ビクッと肩が跳ねてから周りを見渡し、そこで周りが見えていなかったと言う事に気づいた三崎は周りに一礼してから席に座る

「あ...すみません。」


「いいさ、そんだけ嬉しかったんだろう?それよりもほら、早く食べちゃいな」

時間が無くなっちゃうぜ。と言いながらある方向を指差しながら三崎に声をかける。そこにはつい最近設置された魔道式の時計が掛けてあり、時間は13時を回っており、昼飯休憩の40分を過ぎていた。

「もうこんな時間!?」

そんな声が食堂のあちこちから聞こえてくる中、

「それじゃあ、僕はお先に失礼するね、」


そう言い黒崎は食器を調理場に返却して司令室に向かっていった。




つづく


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