第3話 学校と男装
男装女子の小学校生活は、割と大変だ。
健康診断などは事情を話して、保健室で行っている。
白髪ロングヘアーの美女、保健室の先生、保健 健子(ほけん けんこ)が
俺1人だけの健康診断を行ってくれる
体重測定と身長測定を終えて
俺はサラシ姿になる、聴診器を当てる診断が行われる
「貴女は大変ね、男の振りしなきゃいけないなんて。」
「跡取りとしての使命ですから」
「でも貴女は女の子でしょ、男の振りなんて大変じゃない?
トイレとか男子トイレを利用しなきゃいけないし。」
確かに男子トイレを利用しなきゃいけない。
だが、前世から利用していたので、それはそこまで苦じゃない
「個室に入ればいいだけですから、苦じゃないですよ。」
個室に入れば、誰も見てこないしな。
「まぁお家の事は私には分からないけど、頑張ってね
無理せず悩みがあったら私に相談するのよ」
「ありがとうございます、先生」
そう言って俺は昼休み教室に戻って行った
教室では俺の友人、金田次郎(かねだ じろう)が話しかけて来る
次郎は金髪ロングヘアーでチャラっぽい性格をしている。
「健康診断終わったかい?」
「あぁ、終わったよ」
「それじゃあボクのナンパに付き合ってくれ、
ボクはかわいい女の子とデートしたいんだ」
この金田、小学生のくせにナンパ癖がある
小学生にあるまじきチャラさだ。
「…まだ小学生なんだから、ナンパは早いと思うけど?」
「何を言って居るんだい?青春は、女の子は待ってくれないんだ。
ナンパは神速を尊ぶ、行くよ、十兵衛。」
俺は次郎に付き合わされて、ナンパをするはめになった
はぁ、まったく何でこんなことに
それからしばらく経ってとある夏の日
プール授業が訪れた
当然俺は男装バレするわけにはいかないので
毎回見学だ
同じクラスの男子達の間に妙な噂が流れ始める
「あいつ、健康診断を休んだし、プールも休んでる
何か隠してないか?」
「体を出すようなイベントに出ない、もしかして性別を隠している?
実は女の子、とか…」
俺はそのうわさを聞いてまずいと思った
まずいな、勘づかれている
ある日、俺はクラスの男子達に、体育倉庫に呼び出された
クラスの男子のリーダー格が言う
「お前健康診断は休むし、プールは出ないし
女の子なんじゃないのか?」
「俺は女の子じゃないよ」
「なら証拠見せてみろよ、ついてるんだろ?」
クラスの男子のリーダー格が俺のズボンを降ろそうとする
俺はリーダー格を軽く蹴った
「がはっ!!」
リーダー格は吹っ飛んで行く
「なにしやがる!!」
取り巻きの1人が俺に襲い掛かって来る
俺は取り巻きの1人を背負い投げして、地面に叩きつけた
「がはっ!!」
残り3人、残り男子3人が構える
「このやろ!!」
男子の1人が殴りかかって来る。
俺は男子の1人の腹を軽く殴る。
「ぐはっ!!」
男子の1人は地面に座り込む
1人やけくそ気味に殴りかかって来る
「るどりゃぁあああああ!!」
俺は軽く膝蹴りした
「ぐはっ!!」
そいつは沈んだ。
最後の1人は座り込む
「ひっ、つ、強すぎる。」
俺は座り込んでいる男子に目線を合わせて言った
「こんなに強い女子なんて居ないだろ?俺は男子だ。
分かったら、俺に構うな。」
「は、はい。」
俺は体育準備室から去って行く
これでこいつらももう懲りたろう
しばらくして、次郎が聞いて来た
「なぁなぁ、君男装女子って聞いたけど本当かい?」
「デマだ、性別を偽るなんて。アニメや漫画じゃないんだ。
出来る訳ないだろ」
本当は性別を偽って居るけど
こう答えるしかない
「それとなんかこのクラスの大将達が君を見るとき、おびえた目で見るんだが
何かやった?」
「ちょっとお痛をしてきたんでな。お灸をすえてやっただけのことだ。
それで少しビビらせてしまったのかもな」
「このクラスの大将にお灸をすえるとか、すごいんだね君は
さすがはボクの友人だ。」
俺は家に帰ってお母様と話す。
「お母様」
「何?十兵衛」
「今日クラスで俺が男装女子ではないか、と言う噂がたちました」
「!!!!それは、大変ね。
どうにかごまかせた?」
「男子達に呼び出され、ズボンを下ろされそうにになりました」
「それで!!どうなったの?ズボンを下ろされたの?」
俺は笑顔で言った
「男子達をボコボコにしてやりました、ズボンは無事履いたままでしたよ」
「そう…よかったわ。」
お母様は俺に抱き着いて来た
「貴女には苦労をかけるわね、女の子らしくしたいでしょうに
家の都合で」
いや、俺は元男だし
そこまで女の子らしくしたいわけじゃないんだが
「ごめん、本当にごめんね。」
お母様は泣きながら言った
「涙を拭いてください、お母様」
「十兵衛…」
「俺はこの家の後を継げることを、誇りに思って居ます。
だから謝る必要なんてありません、光栄な事なのですから」
「十兵衛…ありがと、ありがとうね。
そしてごめん」
「だから、謝る必要なんてないと言っているのに…」
「それでも親として、謝らなきゃいけないと思うから。ごめん…」
「………」
俺はそれ以上何も言えなかった
自分が同じ立場ならすごく謝ってたろうし
性別を偽る、と言う事はそれほど重大事項だからだ。
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