第39話 新出発


「なーにしてるの?」

「ん?ツキが邪魔だから後ろにボックス付けてるんだよ。蓋も外したし大丈夫だろ」

 どうせそんなに飛ばせないんだからこれで十分だろ。

「これは?」

「ん?ドリンクホルダー」

「ずっこいな!私のにも付けてよ!」

「わーったから」

 と朝からスクーターに色々取り付けている。

「俺にもくれよ」

「はいよ、動具はここな」

「うっす」

 とアキラも取り付けている。

 

 朝飯を食ってから、

「よし行くか!」

「どっか寄ったほうがいいんじゃない?」

「そうだな、どこかあれば寄って行く感じで!」

「「了解」」

 べべべべべと走っていき、途中でガソリンを入れ、コーヒーを飲む、ツキは水を渡すとゴクゴク飲んでいる。


「このさきの駅にドンキがあるぞ!」

「んじゃ行ってみるか」

 と言ってみると誰かに荒らされた後だな。

「凄い荒れようだな」

「まぁ、使えるものがあるだろ?とりあえず手分けして行こうぜ!」

「だな」

 と2人ともマジックバッグを持っているから問題ないな。

 俺とツキは大型の家電なんかを収納したり、とりあえず片っ端から収納して行く。


 何処か落ち着くところができたら必要だからな。


「キャァァアァァ」

 と聞こえたのでそっちに向かうと、

「このやろ!ばか!ヘンタイ!」

「お、おいおい、死んじゃうから辞めとけ」

「だっていきなり抱きついてくるんだもん!」

 とチフユは俺の後ろに隠れた。

 中年男性だな。

 とりあえずヒールをしてやると、

「な、なんだ!お前ら!ここは俺の棲家だぞ!」

「なら入ってきたやつに抱きつくのか?」

「そりゃ、俺の場所だからな!」

「はぁ、眠っとけ」と腹を蹴り眠らせる。

「いやいや、気絶でしょ!」

「まぁいいからさっさと荷物を取って行こう」

「はーい」

 とまた別行動で色々物色して、必要なものは収納したので合流する。

「んじゃ行くか」

「ま、待て!お、俺のものを勝手に持っていきやがって」

 と拳銃を持っているので斬ってしまうとモデルガンだったようだ。

「えっ!あ!ええ!」

「行くぞ」

「「はーい」」

「く、クソッタレー!」


 原付で新宿を抜け世田谷区に入ると、まだSOSの看板が出ている。

 見に行くとこんどはお年寄りが集まっている避難所だった。

「ラジオでは聞いていたんですが本当かわからなくて」

「本当ですから行ったほうがいいですよ?」

「ほら!だから言ったんじゃ!よし!皆の者行くぞ!」

「「「おおー」」」

「え?お爺ちゃん達も行くの?」

「当たり前じゃ!若いもんの世話になっとる場合じゃないからの!」

 と杖をついて行こうとするのでしょうがない。

「分かったついて行くから行こうか」

「おお!お前は話がわかるのう!」

 と言ってみんなでダンジョンに向かう、ゴブリンどもを斬り倒して行くと、

「若いのにいい太刀筋じゃな」

「ん?ありがとう」

 と褒められるが、剣術極だからな。

 中に入り、石碑に触ってもらう。

「どうだった?」

「ワシは剣術じゃな!」

「ならこれをどうぞ!」

 とゴブリンソードを渡す。

「ほうちゃちいがまぁいいか!」

 お爺ちゃん達はゴブリンくらいなら負けないようだな。

 ボスは俺たちが倒して、二階層に行くとオークだ。

「よし!いくぞ」

 とオークも軽々と倒して行く。

 レベルが上がり曲がった腰も伸びて行くな。

「さぁ、肉はここに入れてください」

 とマジックバッグに拾っていたがお爺ちゃん達も、拾って持ってくる。

 レベルと共に元気になるお爺ちゃん達だ、これが日課になるだろうな。

「皆の者!帰るぞ」

「「「おおー」」」


 鍛治職のお爺ちゃんもいたようで剣を作り変えると意気込んでいるし、ここはもう大丈夫だろうな。

「おう、また来い」

「分かったよ!またね」

 と言って別れる。

「バリバリ」

「ん?何食ってんだ?」

 と見てみるとお煎餅をもらったみたいでうまそうに食っている。

「ハハッ、なんでも食べるのか」

 どうやらツキは肉食ではなく雑食らしいな。

 途中でジムが目につきようやくシャワーが浴びれると中に入るとそこには先客がいたようだ。

「なんだお前ら?」

「ん?シャワー浴びようかと思ってな」

「な、なんだそのモンスターは?」

「ペットだ」

「ふ、ふん、そうか、何かと交換だ」

「ふぅ、じゃあ米でいいか?」

 と米袋を出すと、

「おお!言ってみるもんだな!いいぞ使って!」

「おう!ありがとう」

 と交代でシャワーを浴びる。

「サッパリしたよ!」

「だよな!やっぱりここをねぐらにしてよかったぜ」

「いいとこだな」

「住むか?」

「いや、旅の途中だ」

「そうか、俺もダンジョンまで行くから外まで一緒だ」

 と見送ってくれた。

「バイクか、探すかな」

「おう、バイクもいいもんだぞ?」

「だな!それじゃあな!」

 と斧を持っているのであれで戦うのだろうな。

「サッパリしたぁ!」

「だな!」

「あのオッチャン最初は何言ってんだと思ったけど喋ったらまともだったな」

「まぁこんな時だしな」

「だな」

「でこれからどこ行くの?」

「とりあえず今日の宿でも探すか」

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