第11話 ハオルドの決心
一晩中お互いの身体を求め合った二人は、とても清々しい朝を迎えた。
ハオルドはリリーナの変化に気が付いた。
瞳から青さがなくなっていたのだ。
ハオルドがやや困惑気味にそれを伝えると、リリーナは笑った。
「私も立派な女になったということだ」
「…俺も男になったぞ」
リリーナはもっと笑った。
「そうだったな、あの老人の話は嘘じゃなかったな」
「青い目のことか?」
「いや、アレの相性がいいと言ってただろう?」
いたずらそうに笑いながら言うリリーナに、ハオルドはやれやれと苦笑いを浮かべた。
その頃にはハオルドのいびきはすっかり消えていた。
その日の昼頃、ハオルドは町の鉄工房へ向かった。
なにやら真剣な顔をして、鉄を打っている。
カンカンカンという音は何時間も続いた。
夕方に差し掛かった頃、満足気な笑みを浮かべ工房を出た。
帰宅したハオルドはある決心をしていた。
夕食を食べたあとリリーナを散歩に誘った。
「随分と寒くなってきたな。雪はもうすぐなのか?」
「…リリーナ、話がある」
「なんだ?改まって…」
ハオルドは片膝をつき、何時間も打ち続けた指輪を差し出しこう言った。
「俺の妻になってくれ」
リリーナは目を丸くし、急な求婚に動揺を隠せずにいたが、少ししてから涙を流し始めた。
ハオルドは戸惑い思わず立ち上がり、涙の訳を尋ねた。
「どうした?急…すぎたか?」
リリーナは首を振り、息を整えた。
「嬉しかったんだ…同じ気持ちでいてくれたことが…。ハオルド、喜んであなたの妻になります」
ハオルドは不安げな表情から一変して、満面の笑みになりリリーナの左手の薬指に指輪を通した。
寒空の下、二人は長く抱き合い永遠の愛を誓い合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます