5/14(☀)晴天なり

 昨日の雨の被害にあり、畑の畝と畝の間に水溜りができていた。

ガクリと落ち込む⤵ ―—が、落ち込んでても仕方がない。

時間は待ってくれないのだ。と、思うしかなく、水の流れを作ってあげた。

水の流れを排水溝にもっていくように土を少しずつ削っていく。

「あまり溝を深く掘っていかない方がいいよ」と、おばあちゃんに言われた。

「そうか…」と、納得し、一つ勉強になった。

野菜作りは天候にもよるし、今年はジャガイモ君もたまねぎちゃんも上手く

育ってくれず、いつも不機嫌のようだ。

最近、つくづく思う。野菜さん達とお話ができたらいいのに……。

そうすれば、「そろそろご飯の時間だよ。肥料をおくれ」とか

「乾燥してきちゃった。水分がないと僕、枯れちゃうよ」なんて

野菜さん達の気持ちがわかったら、お世話だってもう少し楽になるんじゃないかな?


「ウフフ…」


そんなことを考えていると、何だか面白くなって笑えてきた。


午前中には出荷分の野菜さんたちの荷造りが完了する。無事に野菜さんを

お嫁に出すことができてホッとしている。

誰に買われるかは誰も知らない。

名前も知らない見ず知らずの人に買われ、美味しく食べられるのだろう……。

野菜さんたちを大きく育てるのが私の仕事だ。


「大きく育たなければ、嫁にも婿にもいけないんだよ。早く、大きくなーれ」

私は一人、ブツブツ言いながら命の水を与える。

「今日の水は特別な水なんだよ。液肥を調合しているからね(笑)。早く仲間の

みんなと同じくらいになったらいいのにね。そうすれば、皆と同じ大きくて広い

畝に移動させてあげるからね」

と、まだ成長不足の苗に液肥を与える。


「茄子ちゃんもピーマン君も大きくなーれ」


「パプリカちゃんとオクラ君は早く芽が出てください…」


独り言は永遠と続くのだったーーー。


こうして、子供達が学校に行っている間は野菜の世話で手一杯の私は

夕方になると足も手も体中がクタクタになっていた。


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