巷談情報(一部抜粋):2022/07/28更新

メモ

筆者が自身のSNSアカウントで「■■県■■市■■町■■山の不思議な体験談や噂、伝承など」についての専用フォームを設置し情報を募ったところ、複数の投稿が得られた。気になった情報は整理でき次第、DMにて詳細な聞き取り調査を実施予定。しかし内容に関しては、てんでバラバラである。



①男性・21歳・学生


 なんか「そこで首吊り自殺した人の霊が出る」みたいな話があるらしいです。大学のオカルト好きな知り合いが言っていたんですが、その人も自分の友人から聞いたらしく大元の出所は分かりません。知り合い曰く、その■■山山頂の広場にある木の一本に女性の首吊り死体が見つかったことがあって、その死体の霊を見た人がいるそうなんです。歳は三十代で髪は肩上ボブの黒髪、白いワンピースを着ていて、横に大きく伸びた太い枝にロープを引っ掛けて死んでいたそうです。ほとんどの縊死体がそうであるように、自分の重みで首の骨が折れて不自然に伸びてて、舌も圧迫されて口からだらんと垂れていた。そして目は……見開いていた。そんな死んだままの見た目の霊が彷徨ってるんだとか。

 死体が見つかった後どういう報道がされたとか、そもそもなぜ自殺したのかとか、その霊に会ってしまったらどうなるのかとかは分からないんです。人づてに聞いた話にしては、やけに情報の解像度が高くてむしろ胡散臭いような感じがしていますが、情報をお求めとのことだったので投稿させていただきました。何かのお役に立てれば幸いです。ちなみにその知り合いは今年の夏、その山に肝試しにいくそうです。なんか彼、動画投稿・配信サイトでそういう「心霊・オカルトチャンネル」みたいなのやってるらしくて。自分のSNSアカウントでも宣伝してましたね。ほんと、よく行くよなって感じです。



②女性・35歳・主婦


 子どもの頃に両親に連れられてその山を登った時、不思議な体験をしました。たぶん見間違えかなにかだとは思うんですが……せっかくなので投稿します。当時の私は虫を見たり取ったりするのが好きだったんですが(今でも好きです)、たしか虫が全くいない冬の時期にいったんですよね。いま思えばなんであんな時期にいったんでしょうね(笑)で、私は登ってる最中つまんなくて「なんか虫いないかなぁ、キラキラした虹色の蝶とかいたらキレイだなぁ」とか変な妄想しながら歩いてたんです。そしたら山頂についたんですが……


 ホントにいたんです。飛んでたんですよ、虹色の蝶が。

 遠くの方に、朧げながらも。


 信じられない光景でしたが、それ以上に嬉しくて。すぐに両親にも「あそこに虹色のちょうちょ、いるよ」って指差して言ったんですが、両親には見えていなかったようでした。あとからいくら必死に語っても当然信じてもらえず……でも冷静に考えたらそんな蝶いるわけないし、そもそも冬だから虫自体いないし。そりゃそう言われるのも仕方ないよなぁと。でも見えたんですよねー。だから、すごいモヤモヤしてるんです。まぁ見間違いだったとしても、あの山は子どものささやかな願いを叶えてくれた山なんです。いつか息子を連れていこうかしら。



③男性・48歳・会社員


 恐らく民間伝承のようなものだと思うのですが「■■山は死者に会える山だ」という話があるようです。あの山周辺の地域一帯が合併で■■町になる前、麓には旧■■村があって私の父の知人がそこの元住人だったのですが、そういう言い伝えがあるらしいという話を父が聞いたことがあるというのです。内容自体はいたってシンプルで「亡くなった人のことを強く想いながら登ると、山頂でその人に会える」というものです。会うための細かな条件や会ったらどうなるのかとか多分もっと色々あると思うのですが、残念ながらそれ以上のことは分からないとのことでした。私自身そういう民俗学というんでしょうか、あまり詳しくありませんので調べようがないのですが、何かのお役に立てればと思い投稿させていただきました。

 話は変わりますが、これとは別に■■山で自殺者が出たみたいな話をネットで目撃したのですが……なにか関係あるのでしょうか。微妙なところですが「あの山で想った死者と会ってしまったら後を追うように連れていかれてしまう」とか、有り得そうな話ではありますね。屍人憑き……とはまた違うと思いますが、なんか「死者に化ける妖怪」みたいなものなのかもしれませんね。もしそうなのだとしたら、あの山がハイキングスポットなのにやけに人気がなく「穴場」とか呼ばれてるの(近くに有名どころがあるからってだけかもしれませんが)、なんとなく納得できるような気がします。

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