43話 海獣オクタゴン5
43話 海獣オクタゴン5
(この雨ならちょうど良いかな)
ジャスティスはそう思い双剣を元に戻し、それに気づいたカインとウルーガは、ジャスティスが詠唱する間、迫りくるバトルクラブらに一撃を見舞っていた。
両腕を前に掲げたジャスティスは静かに術を唱える。
「青と氷に連なる四神、青龍(せいりゅう)!」
慣れた手つきで青色の光を発する八芒星(オクタグラム)を作り出す。
「誘引(ゆういん)する清流(せいりゅう)の依り代を具現化せよ!」
青い光を放つ八芒星(オクタグラム)がより一層強さをましたその時、
「アイシクルランサー!!」
ジャスティスはその力と共に術を発動させた。
キィィンン……ッ!
――ドッ! ゴオォォウゥッ!!
ジャスティスが産み出した八芒星(オクタグラム)は眩(まばゆ)い光となり海獣オクタゴンを目掛けて、雨を拳大(こぶしだい)の雹(ひょう)に変化させ、触手が浸かる部分の海水は、海水ごと鋭利な氷柱となって海獣オクタゴンを貫こうとした。
「クッ! おいウルーガ! こっち来い!!」
ジャスティスの放った術の威力が、雨と海上により威力が増す事をいち早く感じとったカインが、ウルーガの手を少し乱暴に自分のほうへ引き寄せて、ジャスティスを中心に囲むようにして、
「アースシールドッ!!」
『地』の属性を持つ晶星術(しょうせいじゅつ)の障壁(しょうへき)を唱え、その防御の壁のおかげで、カインとウルーガ、ジャスティスの三人は吹き荒ぶ雹の嵐から身を守れた。
ゴオォォ……
ジャスティスが放った術の余韻が消えると、船の甲板前方のあたりはまるで雪嵐が通り過ぎたような、一面氷と霜(しも)だらけになっていた。
海獣オクタゴンは海中から突き出た鋭く尖った氷柱に体を貫かれて身動き取れないまま分厚い氷にその体を覆われて凍っていた。
甲板にいる数体のバトルクラブもまたオクタゴンと同じように体ごと凍りついて氷像のようになっていた。
「そうか! 凍らしちまえばいいわけか!」
自身が放った晶星術の防御の効果が切れたカインは、足元にいた氷像と化したバトルクラブを蹴るとそれは勢いよく滑って海へと投げ出された。
「これなら斬ることができるはずです!」
ジャスティスはそう言いつつ、海獣オクタゴンの右側の凍った触手に双剣にて一撃を見舞う。
ジャスティスが放った攻撃により体内の芯まで凍りついたオクタゴンの触手は、氷ごと大きな音を立てて切断された。
「よし! じゃあこっち側も!」
剣による攻撃が効くと分かったカインもまた左側の触手を素早く切り落とす。それと同時に、海獣オクタゴンを凍らせていた氷が溶け始め、オクタゴンは体をうねうねと小刻みに揺らしたのち海中へとその身を沈ませた。
それを期に、甲板にいたバトルクラブらも海に戻って行った。
海獣オクタゴンとの戦いの最中、分厚い雲に覆われていた空は雨が小降りに変わり、荒れ狂っていた海は次第に小波となり始終揺れていた船は落ち着きを取り戻した。
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