第39話 戦争の足音
デルタ街から戻ったイルマは早速、夢ランド
の建設に向けて建設省の職員と交渉をしている。
蒸気列車の時もそうだが、土魔法を使って工事をするので前世と比べて工事の期間が短く夢ランドも早く出来そうだ。
毎日のようにイルマとリズは施設に作る建物や乗り物について話あっている。
リズが一緒に作るのでディズニーランドに似た夢ランドになるのは予想がつくが楽しみだ。
ラオスは仕事が増えると文句を言いながら交通局を作り、結局責任者に丸投げをして俺は呆れたのだ。
デルタ街までの間には駅を7か所作り急ピッチで工事を進めている。
駅舎などが完成し、駅員や運転士の教育に時間がかかり、3カ月後には開業に漕ぎつけた。
今日は開業式典で、1番列車には俺とリズを始め、貴族たち、招待客が乗り込む。
式典には大勢の人が集まり列車を見て騒いでいた。
俺がくす玉を割りいよいよ列車が走り出すと見物人たちから大歓声が上がり、ビヨンドが感激して。
「陛下、俺はこんな大仕事を任されて感謝しています。本当にありがとうございました」
「ビヨンド、良くやった。礼を言うのは余の方だ。蒸気船の方も宜しく頼む」
「アッ! 蒸気船の方を忘れていた。でも任せて下さい。必ず立派な船を作って見せやすぜ」
蒸気列車が走り始めたので、今はで皇都からデルタ街までだが将来は大陸の北側にも走らせるつもりだ。
そうすれが旅をする人も増えて観光する人も増え地方も活性化し経済も発展するだろう。
流通経路も出来て経済に良い効果も出て産業が発達して我が国が豊になれば皇帝として嬉しい限りだ。
リズは子供のタクミを俺の母親のアーニャ母上に任せて夢ランド作りに夢中で、アーニャ母上はタクミを可愛いがり甘やかし過ぎるので心配だ。
皇族の母親は自分の子供を育てなく子育ては侍女に任せるのが普通で、俺も侍女が面倒を見て育てられた。
そのせいかアーニャ母上は初めての子育てが嬉しいのかタクミを育てるのに夢中だ。
俺は政務が忙しく今日は諜報部のアヤノと会いカンボナ王国の報告を聞いている。
アヤノは、今回は自らカンボナ王国に長期間潜入して調べた結果、如何やら本格的に兵士と武器を増やし戦争の準備をしているらしい。
南大陸の広さは北大陸の半分くらいの広さで以前は5か国があったらしいが、カンボナ王国が侵略して併合し統一した。
だから戦争の準備をしているのは我が国を征服しようとしているとしか考えられない。
その証拠に南大陸の我が国に近い所に砦を築いているのだ。
北大陸と南大陸を結ぶ細長い陸地は10kmくらいあるが、真中の1kmは満潮には水没してしまう。
カンボナ王国はそのために船で兵士を運ぶ為に帆船を沢山作っているようだ。
アヤノの報告は以上ではやはりカンボナ王国は我が国に侵略しようとしているのは確実だ。
早急に対策を考えなくてはいけないのでショーン防衛大臣を呼んで対策を話し合う事にした。
ショーンにアヤノから報告を受けた事を話すとショーンはしばらく考え込んでから話だし。
「話を聞く限りではカンボナ王国は我が国に侵略しようとしているのは確実でしょう。問題はいつ侵略を始めるか。船で兵士を運ぶなら何処に上陸する気なのか、まさか直接、皇都を攻撃するとは思われませんが、一応準備をしておくべきかと思います」
皇都を直接攻撃するとは思わなかったがショーンの言う事もありうるので対策を考えなくてはいけないだろう。
遠くから戦争の足音が聞こえているようだ。
宣戦布告をしてから戦争を始めれば良いが突然侵略を始められれば対応が遅れるので、アヤノにはカンボナ王国を監視して何か動きがあったなら、通信機で直ぐに連絡をするように言っておいた。
通信機は戦争になったなら連絡が早く出来るので本当に作っておいて良かった。
カンボナ王国と戦争になれば火薬を持っているので、もしかしたなら爆弾を使うかも知れないのでその対策を立てなくてはいけないだろう。
カンボナ王国が船で攻めて来るかも知れないので事情を話して蒸気船を急いで作るように言っておいた。
蒸気船が戦争の始まる前に出来れば我が国が優位に立てるだろう。
戦争が起こるかも知れない事は上層部だけの秘密にして、国民たちには直前まで知らせない方が良いかも知れない。
不安を煽って折角、改革をして産業が発達して経済も伸びているのに停滞しないようにしなければならない。
リズは賢いから気が付くだろうから話しておくべきだろう。
俺は前世の知識を使い全力を上げてカンボナ王国と戦い勝つつもりだ。
そのために今まで使わなかった自分の魔法を戦争で使うつもりでいる。
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