第25話 国境の街シブチ



 1週間街に留まり、牢に入れられていた、商店主の代表を救い出し、性奴隷にされていた女性も解放した。


 

その後に俺が商店主と性奴隷にされていた女性に。


「すまなかった。余の監督不足だ。此れからは二度とこんな事の起きないように注意する」


 商店主は皇太子が直接謝罪するとは思わなかったみたいで。


「助けてくれただけで十分です。悪いのは代官で殿下は悪くありません」


 性奴隷にされていた女性は「ありがとうございました」と言い後は俯いて何も言わなかった。


 俺は新しい代官に女性たちの心のケアをして面倒を見るように言って、彼女たちに一生暮らせるお金を渡しておいた。


 1週間後、再びシブチ街を目指して旅に出た。


 次の宿泊予定地の街に着いたのは日が沈んだころで直ぐに宿に泊まり翌朝、旅館の店主に街の様子を聞くと。


「此処の領主はサロン伯爵様ですが、善政を行い月に1度は住民の意見を聞く機会を設けています」


 この領地の伯爵は住民から慕われて問題がなさそうで安心して目的地に旅立った。


 馬に乗りながらリズが。


「領地を治める代官や領主によって住民の生活や人生が左右されるのですね」


「封建制度では仕方がないが、だからこそ最高権力者の皇帝が善政を敷き監視を厳しくしないといけないと痛感した」


「リオン様なら大丈夫よ。帝国の住民を幸せにできるわ」


「うん。頑張るよ」




 その後は何事もなく国境の街シブチに着いた。


 シブチ街は帝国直接管理地で防衛の為に帝国軍1万人が駐留している。


 街に駐留しているのではなく街から5km先にバスタ王国に行く道とログラン皇国に向かう道に分かれている三つ又の場所がある。


その場所の手前に谷間がありその谷間の入り口に砦を作り帝国軍が常時1万人駐留しているのだ。


 最後はその砦を視察するが、明日は先ずは街の中を視察することにしよう。




 翌日、街の中を見て歩いていると、平和で住民はバスタ王国とログラン皇国が戦争を仕掛けて来る噂は知らない様子だ。


 街は下水と水道も整備されていて清潔に保たれている。最近は何処の街も下水と水道が整備されていて嬉しい限りだ。


 それだけでなく、義務教育の校舎も建設中でもうすぐ開校の予定だ。


 道行く子供連れの平民の夫人にリズが。


「義務教育の学校が開校するのを知っていますか?」


「え? 義務教育の学校? それは何をする所ですか」


 リズが説明して。


「帝国が開設する、子供が読み書きや計算を無料で学べる所です。そうなれば役人にも登用されますよ」


「本当ですか。子供が読み書きを出来て計算が出来るようになれば役所で働けるのですか」


「はい。それだけではなく、色んな所で働けて豊かな生活ができます。今度皇帝になられるリオン様は国民の生活を向上させる為の政策を色々していますが、この義務教育を考えたのもリオン様です」


「リオン様は素晴らしい方なのですね」


 全くリズは自分の旦那様になる俺を褒めてどうする。


 その後も街の住民の声を聞くと代官の評判も良く安心した。此れならわざわざ代官に合わなくても良いだろう。


 俺の任命したアンナを始め大臣は優秀で実行力もあり、次々と決めた政策を進めている。


 次の日に帝国軍の砦に行き駐留軍の責任者と面会した。


 責任者に合うのは初めてだったが、俺が皇族の証である龍の紋章を見せて皇太子である事を告げると、直ぐに責任者が来て応接間に通された。


 責任者は髭面の大男で。


「私は男爵のグレンと申します。殿下の噂は聞いております。素晴らしい功績を上げて若いが素晴らしい方だと聞いております」


 「余の力でなく皆が助けてくれるからだ。それでバスタ王国とログラン皇国の様子はどうだ。噂では同盟を結んで我が国に戦争を仕掛けて来ると言っているが」


「はい。確かに両国は兵力を増強している様子です。やはり我が国に敵対しているのでしょうか」


「諜報活動はしていないのか?」


「一応はしていますが、なかなか難しいみたいです」


 同やら諜報活動は得意では無そうでバスタ王国とログラン皇国の正確な情報を掴んでいない様子だ。

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