第21話 組織の改革



 国の組織の改革に取り組むことにして、ショーン軍務大臣の管轄する帝国軍、騎士団、近衛騎士団はそのままにした。


 平民の読み書きや計算が出来ない人は90%以上、貴族でも半分が出来ないので教育省をつくり、8歳から14歳までの義務教育学校を開設して文盲をなくすつもりだ。


 最初は5つの省を財務省、建設省、農業漁業省、産業省を立ち上げ不正を防止する皇帝直属の監査室を設けるつもりで人材探しをすることにした。


 今回は、平民はまだ教育が出来ていないので貴族の子息の若手を起用するために俺が鑑定の目で面接を行う。


 各貴族に通知を出すと何と500人の応募者があり面接をした。


 今は治療院の普通の治癒魔法を使える人を平民は聖女様と呼びリズを大聖女様と呼んで敬っている。


 そのリズはその後、治癒魔法を使える人が増え新人の教育に当たっていたが今は新人もいなく暇なので俺の秘書官に任命した。


 リズと一緒にいたいのではなく前世の知識を活用するためで、リズの兄でラオスを宰相代理に任命して一緒に面接した。


 財務大臣にはヨハン宰相の息子ルパート・シートン25歳、教育大臣にはアンドレ・バリュー公爵の娘のアンナ・バリュー24歳、産業省大臣には侯爵の息子カール・スミス22歳、農漁業大臣には若い伯爵家の当主ロビン・ドロン25歳、建設大臣には経験が豊富な工兵隊の隊長で子爵の息子アロン・ジョンズ25歳を大臣に抜擢した。


 側近のアヤノ・クリスは俺の直属の諜報部を作り、責任者にして、俺の身の回りをする侍女は前からアヤノと最初からいる侍女に交代させた。

 諜報部には面接のときに来た新しい部下を30人雇いアヤノの諜報部に入れた。


 アヤノの諜報部は俺の直属の監査室の監査役として、領地持ちと直接の管理地の代官を監察して立ち入り検査をする権限を与えた。


 これで不正を少しでも減らせるだろう。


 俺の警護はリンダとバースの2人がいれば十分だろう。


 今回、面接に来た500人は鑑定の目で見て悪人と誠実の数字が悪い者以外は採用して各省の次官、教育省の教員、各省の役人として450人を新規に雇った。




 1カ月が過ぎたが、陛下は別荘から戻ってこなく俺を皇帝代理に任命してきた。


 全く兄上が3人もいるのに1番年下の俺を皇帝代理にするとは、やはりリズの言う通り陛下は次の皇帝に俺を指名するつもりなのか。


 だが良く考えてみると皇帝になるのも悪くはないかも知れない。


 此の世界を変えるには権力が必要で権力がないと今、進めている改革も他のお兄さんが皇帝になったなら面倒くさくなり、途中で止める可能性が高い。


 そうなれば国民が可哀想でやはり俺が皇帝になるのが1番良いだろう。


 全ては陛下の考え次第だが俺が次の皇帝に指名されたなら引き受けるべきだろう。


 改革は順調に進み1カ月で組織が出来上がり、新しく動きだした。


 財政大臣のルパートが来て。


「リオン様、皇庫の黒字が増えました。監査員が不正を摘発したお蔭で税金が正しく納税され、それに水増し請求がなくなり、無駄使い減り大幅な黒字になりました。これもリオン様のお陰です」


「俺の力だけではなく皆が力を合わせたおかげだ


「そう言う事にしておきましょう」


 ルパードが帰ると続けて教育大臣のアンナが来て。


「驚きました。予算が思ったより多くて、これなら義務教育の学校が10校の予定でしたが15校建てられます。此れも陛下のお陰です」


「オイ、オイ俺は陛下じゃないよ」


「私たちに取っては陛下と同じですよ」


 皆は口をそろえて俺のお陰だと言うが、アンナも義務教育に大賛成で教員の確保や教育に熱心で彼女のお陰で義務教育も早く開校出来そうで感謝している。


 俺の選んだ大臣は優秀で思った以上の働きぶりで計画したより物事が早く進み喜んでいる。


 午後からは産業大臣のカールと農漁業大臣ロビンが来てカールは失業者を雇うために国営の魔道具を作る為の工場を建てる許可を取りに来た。


 カールは22歳と若いが失業対策に熱心で平民の生活の向上を考え、俺が教えた冷蔵庫や暖房器具の魔道具の生産に乗り出し、新しい産業の発展に力を注いでいる。


 ロビンは各地の特産品作りと、俺の教えた農地の土壌に森の枯れ草を含んだ土を加えて土壌の改良する事を指導し農民から喜ばれている。


 今日は漁業の知識を聞きに来たみたいで、今の漁船は手漕ぎボートみたいで小さいので帆を付けた大型の漁船を作る事を提案し、作り方と操作方法を教えた。


 こうして俺は前世の知識を使い、この世界を少しずつ変えている。

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