第16話 婚約
建国祭の後いつものように魔法隊の指導をし、領地の経営と忙しい毎日を送っている。
そんなある日、皇宮の執務室で仕事をしていると陛下から呼びだされて陛下の執務室にいくと。
「最近は皇都の街も変わっただろう。それに奴隷だった者を希望者は兵士に採用した」
俺もその事は知っていたので。
「陛下の英断で奴隷を開放していただきありがとうございます」
「反対していたダマス達の一味がいなくなって奴隷商人に今後の生活費用を渡したら事がうまく進んだわい。これも全部リオンのお陰だ。礼を言う」
「いえ、俺は当たり前の事をしただけです」
「それでだが。リオンの婚約者を決めたのだ」
皇子の結婚は殆どが政略結婚なので陛下が決めたなら従うのが当たり前なのだが、俺は気になっていたリズという少女を思い出し陛下が決めた相手が気になり。
「陛下が決めたなら従いますが、相手はどの貴族の令嬢ですか」
陛下は意味ありげにニヤリと笑い。
「誰だと思う。リオンが知っている娘だ」
俺が知っている令嬢は沢山知っているので分からないので。
「分かりません。陛下じらさないで教えてください」
「ショーン公爵の娘でリズだ。お前が初めて女に興味を持ったので余が直接話を進めた所、相手の娘もリオンなら良いと言って喜んでいたらしい」
流石に陛下だ! 俺の気持ちを読んだみたいなので礼を言い。
「陛下! ありがとうございました。彼女なら文句は言いません。礼を言います」
「ハッハッハー! 気に入ったか。お前は奥手で中々自分で女を口説けないから余が代わりに口説いたのだ。これは貸しだ。それにしても今までどんな男の婚約話にも耳を貸さなかった、あの娘がリオンを気に入るとは見る目があるな」
どうやら彼女も俺が気に入ったみたいで、良かった。政略結婚とはいえ皇族からの申し込みに嫌いな相手でも断れないので良かった。
それから1週間後に皇宮にリズを招いて会うことになり、当日、俺が皇宮の庭にお茶会の用意をして待っているとリズが使用人に案内されて現れ、俺はその美しさに見とれていた。
彼女が令嬢らしく美しいカーテシーを披露して。
「今日はお招きを頂き誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします」
俺は彼女の美しさに見とれていたが、女性と2人で会うのは前世の奥さんの瞳、以来で緊張して彼女の座る椅子を引いて。
「こちらこそよろしく、お座りください」
俺が椅子を引いたのが珍しいのか彼女はビックリしたみたいだが椅子に座り。
「ありがとうございます」
俺が言葉を選び失礼のないように。
「この度は私からの結婚の申し込みに良い返事をして頂きお礼申し上げます」
「こちらこそ私を指名していただきありがとうございました。感謝申し上げます」
俺は堅苦しいのは嫌なので。
「最初だから仕方ないのですが、俺は堅苦しいのは嫌いなのでもっと気楽に話しませんか」
すると彼女も。
「ウッフフ、本当は私お転婆で堅苦しいのは嫌なので助かります」
「えっ? お転婆なの? そうは見えないな」
「はい。お兄様にいつももっと女らしくしなさいと言われますのよ」
「意外だな」
「それに紫色の瞳は珍しく、魔法を使えないので同じ貴族の令嬢から仲間外れにされています。こんな私がリオン様の婚約者で良いのでしょうか。今ならまだ公表されていないので嫌なら断ってください」
「君は正直だな。俺は魔法を使えないからと言って馬鹿にしたり、仲間外れにする奴を軽蔑するよ。それより人間性の優しさや思いやりのある人のほうが良いと思うな」
「リオン様は私の思っていた方で良かったです。お父様からお聞きしていたから立派なのは知っていましたが、お会いしてお父様の言っていた通りなので安心しました」
「その内にボロが出るかも知れないが、ハッハッハ」
「それは、お互い様でしょう。だから結婚したら片目を潰れと言う諺があるのでしょう」
ンンン? ・・・・確か前世の西洋の諺じゃないかな。この世界にも同じ諺があるみたいだ。
俺はリズを気に入り話が弾み、気が付けば3時間も話して別れた。
建国際の翌日からリズの兄ラオスが俺の側近としてシモンが面倒を見ていたが俺は忙しく初日に簡単な挨拶をしただけだ。
今日はゆっくり話を聞きたいので執務室に呼び話をしている。
「ラオス離宮と皆に慣れたか?」
「はい、皆良い人なので直ぐに慣れました」
これからの事もあるのでラオスの事を知るためにステータスを見ると。
名前 ラオス・ハイネ
性別 男
年齢15歳
称号 剣聖
レベル:40/100
魔力量 400(最大1,000)
統率力 50 威圧力 40
武力 60(剣 60 軍事力20)
体力 60 知性 60
精神 70 指導力 60
運 70 誠実 80
スキル
火魔法 50
驚いたショーン公爵の息子と言うので厳しい訓練をさせられていたと思っていたが、ステータスは想像以上の数値で良い人材だ。
その晩は遅まきながらラオスの歓迎会をして、久しぶりに側近と楽しく食事をした。
それにしても俺の側近は良い人材が集まったものだ。
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