第14話 新しい領都を作る



 新しい領都を作ることにして街の平面図と想像図1週間かけて描いた。


 北側に少し高い丘があつたので、そこに領主の屋敷を作り、その前には広い公園のような噴水のある広場を作り。


 そこから南側に放射状に碁盤の目のように道路を作り中央の通りには商店街を計画した。


 家は煉瓦作りで統一した。勿論上下水道は完備でトイレは水洗だ。


 図面を描く間はボンズ、バース、リンダ、アヤノには住民の数と暮らしを調べさせている。


 構想が出来ると空間魔法を使い皇都の工兵隊を呼びに行った。今では工兵隊は土魔法を使い工兵隊と言うよりは、前世の建築士のようだ。


 空間魔法で1度に30人を移転できるか心配したが、どうやら1度に50人は移転できるみたいだ。



 側近は領都の人口の調査と暮らしを調べ終わると、アヤノは俺の身の回りを世話をする為に残し、バースとリンダは皇都に帰してシモンと一緒に兵士の訓練に当たらせている。



 街の図面を見せると工兵隊がこんな綺麗な街つくりは初めてで出来上がりが楽しみだと言っている。


 俺も土魔法を色々研究してコンクリートより硬い壁を作る事に成功した。


 それを工兵隊に教えると、流石に今では土魔法で色んな建築物を作っているので直ぐに覚えて使い始めている。



 俺は領主の屋敷を作る事にしてどうせ作るなら前世の日本の城、姫路城をイメージした白亜の城を建てる事にした。


 1週間に1度は皇都に空間魔法で帰り、魔法団の指導をしながら1か月後にイメージした日本の城が完成した時は、我ながら上手くできて自分を褒めて上げたのだ。


 3階建てだが実物より小さく丘の上に建っているので、下から見ると白亜の城で大きく見え満足している。




 ボンズに約束した半年後には新しい領都が完成したのだ。


 出来上がった街並みを見てボンズは。


「本当にこんな綺麗な街が、わずか半年で出来るとは思いませんでした。別世界見たいです」


 作った工兵隊も。


「綺麗でまるでお伽の世界みたいだ」


 自分たちが作った街なのに余りの綺麗さに感嘆している。



 俺は住民の説明会に行き、新しい領都に住む者は住宅を無料で提供し、2年間は税金を払わなくて良いと言うと信じられないと言っていた。


 事実と分かると住民は家族の人数に応じて家を分け与えられ、新しい領都に引っ越しを始めた。


 新しい領都には農作地帯も作られて大勢の農民も引っ越しを初めている。



 2つの住む人のいなくなった旧領都は魔法で焼き払い、新しく農民の家を建てて広大な農作地帯にした。



 その農作地帯ではこの世界で少ししか作られていない稲とサトウキビを栽培させている。


 今は芋やパンが主食だが、将来はお米を主食にして日本酒とサトウキビで砂糖を作り特産品にするつもりだ。


 それに加えて海が近いのでこの世界では海水から塩を作る事を知らないのか岩塩を使っている。


 そのため砂糖と塩は高価で平民は塩を少しだけしか使わず、貧しい食生活だ。


 俺の前世に知識を使った塩と砂糖がこの世界の食生活を変える事を願っている。




 俺が領地の経営をして2年が過ぎ、領地の人口が10万人だったのが50万人に増えた。


 移民が増えた事もあるが衛生事情が良くなり、病気で死ぬ人が少なくなり、俺が生まれた子供の育て方を領内で指導し、子供も死亡率が今までの4分の1に減った事も影響している。




 最初はお米を食べなかったが今では領内の住民がお米を主食にしている。


 皇都の住民もお米を食べ始め今では、お米の生産が消費に追い付かずに田んぼを増やしている。



 日本酒の売れ行きも好調でやはり生産が追い付かない状態だ。


 最後に塩と砂糖の売れ行きが爆発的で万年的に品不足で今はサトウキビの栽培を増やしているが、国内だけでなく外国からの注文が多く困っている。


 塩は海水が材料なので生産が順調で安定している。


 住民の所得も上がり、平均収入が何と小金貨2枚の20万ルプで物価が日本の4分の1なので円に直すと80万くらいなのだ。


 税金は今年から収入の2%だが、住民の収入が多いので領地経営は大幅な黒字で、国に治める税金も領地持ちの貴族の中でも1番多い。



 だが良いことばかりではない。何処の世界でも出る釘は打たれると言うが、その通りで高位の貴族たちが意地悪をするのだ。



 俺は皇子なので面と向かって意地悪はしないが陰湿で困っのはている。


 まぁ、俺は気にしないが何故かウイル第3皇子が怒っているのは、王族から追放処分にされる所を謹慎処分にした俺に気を使っているのだろう。


 一部の貴族を除いて俺の人気は高く、すり寄って来る


 俺はそんな奴らに左右されずに自分の信じた道を歩くつもりだ。


 これも俺が権力のある皇族で、お金を自由に使えるからだがその日暮らしの貧乏だからじゃないから言える事だが、その代わり国民を豊かで幸せにする責任があると思っている。


 

 それが出来るか分からないが、精一杯努力するつもりだ。

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