第9話 インフラ整備する



 インフラ整備の許可と予算を貰ったのは良いが、此の世界で下水と水道の知識と工法を知っている人がいないのでどうするか考えている。


 前世の工法ばかり考えていたが、この世界には魔法があるので土魔法で作れないか試すことにした。


 試験的に近くの空き地で地下に3mくらいのトンネルを作り、周りをコンクリートのように固くして作ると成功した。


 初めて土魔法をインフラに使い土がコンクリート以上に硬くなり、他にも土魔法を試すと塀、壁、煉瓦も作れて、これなら家、ビル、要塞も土魔法で建てられることが分かったのは収穫だ。



 ギルドに行き土魔法を使える人と、ついでに兵士の希望者を募集して来た。


 1週間過ぎても兵士の応募者は100人も来たが、土魔法を使える応募者は1人も来ないので1カ月の給料を小金貨1枚10万ルプにして再度、募集をした。


 現金なもので10人の募集に対して30人の応募者があったので鑑定の目で土魔法を本当に使えるか見て、実際にトンネルの作り方を見せた。


 少し練習させると驚くことに全員が作れたので早く下水を作る為に全員を雇った。


 前世の工法では下水を作るには皇都、全部をするには何年も時間がかかったが、土魔法で作ると1日で1人が1km以上も作れる。


 下水の綺麗な水に処理するにはこの世界にいる、何でも食べて綺麗にするスライムを処理施設に放った所、下水が綺麗になり成功した。



 トイレを簡単な水洗にするためにやはり土魔法で水洗便器を作り各家庭に設置したが、魔法の力は素晴らしく3カ月で皇都の下水が完成した。


 完成式典には貴族は勿論、陛下や平民の代表も出席して盛大に行われ、陛下が挨拶で俺が下水の発案者で工事を行ったと発表されると、大勢の住民が俺にお礼を言われて対応に困った程だ。


 半年後には水道も完成し、これで糞尿などを道路に散乱することもなくなり、綺麗な飲み水も確保でき、皇都も清潔な街に生まれ変わり病気が少なくなるだろう。


 領地持ちの貴族たちも自分たちの領都に下水と水道を作ると良いのだが。




 水道と下水が完備した後、街を見て回ったが、平民の住宅街や商店街の裏通りにも糞尿などは落ちていなく。


 俺が歩いていると、道路を清掃している住民が「ありがとうございました。お陰様で街が綺麗になりました」と声をかけてくれたのは嬉しかった。


 どうやら住民の意識も変わったみたいなので少しでも病気で死ぬ人が減れば良い。




 インフラを整備し終わると執務室を用意されて陛下から1週間に1度は王宮で皇子として仕事をするように言われた。


 皇子としての仕事は本来15歳の成人になってからだが、インフラの整備が成功したので新しい仕事を与えられるみたいだ。


 与えられた執務室に行くと陛下が来て。


「リオンのお陰で皇都が綺麗になった。礼をいう。だが今の帝国軍をどう思う」


 現在のクロード帝国の軍は日本の戦国時代みたいに貴族の領主が兵を持っていて、戦いがあるたびに兵を集めて戦う。


 帝国が直接動かせるのは近衛騎士団と騎士団に兵士全部合わせても1万人くらいで他の9万の兵士は貴族の私兵なのだ。


 それでは指揮系統が統一できなく、万が一貴族の領主が裏切り場合や反乱した時は大変なことになるので軍隊は、皇国軍は皇帝の指揮下に置くべきだと思い。


 その事を説明したのだ。陛下は考え込み暫くして。


「リオンの言う事は最もだが貴族が兵を手放すとは思えん」


「領主には最初は兵の半分を新しく作る帝国軍に配属させて何かあるときは、帝国軍が応援に行くのはどうでしょうか。その後、皇帝が兵を増やして領主や反乱などを出来ない皇帝の指揮下に最強の帝国軍を作ってはどうでしょうか」


「それなら貴族も納得するだろう。だが誰を新しい帝国軍の責任者にすれば良いのか・・・・そうだ公爵か侯爵以上をリオンが鑑定の目で見て決めてくれんか」


 確かに高位の貴族でなければ軍の責任者に付けても命令を効かないだろう。


 毎週月曜日に王宮で仕事をするので次の月曜日に陛下が、新しい皇国軍を設立する事を説明して俺が同席し、鑑定の目で見て責任者を決める事になったのだ。




 当日、集まった、公爵4人と侯爵4人の8人に陛下が新しく皇国軍を作る事を説明すると、宰相の公爵でのヨハン・シートンと他の侯爵4人と公爵で軍の将軍のショーン・ハイネが賛成した。


 だがアルド皇太子の派閥のアンドレ・バリュー公爵とウイル第3皇子の派閥のダマス・ドリン公爵が反対をした。


 どうやら自分の派閥の皇子を次の皇帝にするのを狙っている2人の侯爵は、私兵を新しくできる帝国軍に取られて戦力が少なる事を恐れているようだ。


 鑑定の目で見ると、反対するアルド皇太子の派閥のアンドレ・バリュー公爵は謀反の意思はなく、ウイル第3皇子の派閥のダマス・ドリン公爵は謀反の意思があり、禁止されている人身売買や麻薬の密輸もしている。


 どうやらウイル第3皇子を操って皇帝にして、帝国を思いの儘にしようとしている極悪人みたいだ。

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