第6話 第二の事件 4



「貴方は、美味しいそうね。私の好みだわ。

この前の男は、女性経験が豊富な男で、最悪だったのよ。

栄養にするなら、純情な可愛い男が良いのよ」


と、今までの優しい声では無く、冷酷で悪魔の響きにも似た言葉が飛び出してきた。

僕は意味不明の言葉に、反射的に身を翻したが、

女の手は僕の腕を掴んでいる。

凄い力だ!女性の力では無い!

「何をするんだ、離してくれ!」

と、叫んだが、腕が熱い。

……何だ!この熱さは?まるで真夏の太陽にジリジリと照らさている様な熱さだ…


「離せ!腕を離せって言っているだろう!」

私は怒りにに任せて彼女に言った


彼女は私の顔を見て微笑んでいるが

その瞳は冷酷で獲物を得た虎の様な鋭い眼光である。


「熱い?大丈夫よ。もうすぐ終わるから。

美味しいよ。貴方の身体は。・・・・」


「離せ!・・・誰か、誰か助けてくれ」

と、大声で叫んだが誰も居ない


「静かにしなさい!馬鹿な男ね。もう私から逃げられ無いのよ」

と、言って女は私の体をハグして来た。

普通は、恋人同士の抱擁の場面であるが、私の身体は猛烈な熱さに

耐えきれない。

意識を失っていく私が見えた。


どれ位の時が経ったのだろうか?

私はあの公園の上を彷徨っている。

誰かに伝えたいのだが、誰にも伝える事が出来ない。


私は死んでいるのであろうか?!


だが、私は誰に殺されたのか?も解らない。


あの女は一体誰なんだ?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る