第69話 『魔剣士』の実力
「トレシアよ、みせてやれ勇者に選ばれたお前の力を」
「はい、アラン様」
「ティア、トレシアは勇者と同じスキルを持ってる。子供だからって油断しないで」
「おっけー、ご主人様! なら、先手必勝!」
そう言うと、ティアは脚に力を貯めて跳び出した。
「聖技、『
そして、いきなりエラスムスを討伐した時の技をトレシアに向けて放つ。
ティアの鋭い爪と、纏った強力な雷が剣を構えているトレシアを襲う。
「魔剣技、『
そう言うと、トレシアは剣でティアの爪を払いのける。
それと、同時にティアが放った雷を俺の方へと反射させてきた。
「やばっ! エノアっ!」
「大丈夫! キャンプスキル、『ゴムボート』!」
俺はとっさに絶縁体のゴムボートを出し、盾にして雷を防ぐ。
そして、同時にティアのサポートに回った。
「キャンプスキル、『水汲み』、『釣り竿』!」
そのままゴムボートに乗り込んだ俺はレベル2になったキャンプスキルを駆使して水流を作りだして発進する。
そして、トレシアの足元目掛けて釣竿を振るった。
しかし、トレシアは飛んできた釣り糸を剣で斬りはらう。
その隙にティアが背後から襲いかかった。
「チャンス!」
「魔剣技、『
直後、トレシアの剣から灼熱の炎が出てきてトレシアの背中に火炎の翼が生まれる。
ティアはその炎に包まれた。
「にゃあぁぁ!」
「ティア!」
俺はすぐにティアを自分の近くに召喚して避難させる。
2人でゴムボートに乗りながら、水流が無くなる位置までトレシアとは距離をとった。
ティアは少し尻尾を焦がしただけで無事なようだ。
(事前にドラゴン肉を食べてきて良かった。今のティアと俺には炎属性耐性 +90%のバフが効いてる……!)
「今ので獣人の方は倒したと思ったのですが……」
「こ、こんなの全然へっちゃらだよ!」
そう言いつつ、ティアは少し涙目になって尻尾をふーふーと吹いている。
(それにしても、これが勇者のスキル『魔剣士』か……)
俺は目の前で火炎の翼を広げるトレシアに鑑定を使った。
【 名 前 】 トレシア・ウィシュタル
【 年 齢 】 12
【 職 業 】 勇者
【 体 力 】 160(+200)
【 魔 力 】 135(+800)
【 攻撃力 】 137(+800)
【 防御力 】 132(+200)
【 俊敏性 】 178(+800)
【固有スキル】 魔剣士
・魔剣士Lv,1
《バフ効果》
(魔力・攻撃力・俊敏性+800、体力・防御力+200)
剣と魔法を使いこなす最強のスキル。
ティアの素早い動きに反応し、怪力すら払いのけて、雷も反射し、火炎すらも操る。
戦闘系スキルだからか『魔剣士』というスキルによる大幅なステータスボーナスもかかっているらしい。
しかも、まだレベル1でコレだ。
ここまでスキルが実力を左右するなら、戦闘系スキルに執着していたアランの態度も納得がいく。
俺の『キャンプ』はステータスボーナスゼロだからね。
そして、ティアは――
【 名 前 】 ティア=フレスベルク
【 年 齢 】 200
【 職 業 】 聖獣
【 体 力 】 930
【 魔 力 】 824
【 攻撃力 】 979
【 防御力 】 748
【 俊敏性 】 998
使役者
《従属契約》 エノア・ウィシュタル
《バフ効果》
・スタミナ消費 -20%(3時間)
・炎属性耐性 +90%(1時間20分)
・毒耐性 +20%(1時間)
・HP自動回復 +10%(40分間)
・魔力再生速度 +20%(20分間)
そして、最後に俺……
【 名 前 】 エノア・ウィシュタル
【 年 齢 】 12
【 職 業 】 なし
【 体 力 】 190(+300)
【 魔 力 】 105(+300)
【 攻撃力 】 187(+300)
【 防御力 】 112(+300)
【 俊敏性 】 158(+300)
使い魔
《従属契約》 白虎
【固有スキル】 魔剣士
《バフ効果》
・サウナ『整いLv,1』残り1時間
(全ステータス+300)
・スタミナ消費 -20%(3時間)
・炎属性耐性 +90%(1時間20分)
・毒耐性 +20%(1時間)
・HP自動回復 +10%(40分間)
・魔力再生速度 +20%(20分間)
残念ながら、俺のステータスではまだトレシアには全く敵わない。
だから、俺がティアのサポートをして何とか勝機を見つけるしかない。
幸い、アランは巻き込まれないように遠く離れているだけで戦闘には加わらないらしい。
背中の火炎を剣にしまうとトレシアは話す。
「驚きました。エノア様のスキルには不思議な力があるんですね。アラン様、どうでしょう? エノア様も改心すればきっと、お役に立てると思うのですが」
「ならんトレシア。エノアはすでに道を踏み外したのだ、最悪殺してしまっても構わん」
「そ、そうですか……」
当然だ、俺とティアはアランの真実を知っている。
アランは俺たちを利用するか殺すかしか考えていない。
「トレシアよ、遊んでいないで早く倒してしまえ。お前の価値はその程度なのか?」
アランがそう言うと、トレシアは少し身体を震わせる。
「そ、そんなことはございません! すぐに終わらせてみせます!」
そう言うと、トレシアの剣から漆黒のオーラが現れた。
「魔剣技、『
そして、トレシアが剣を振るうとその黒いオーラは凄い速度で俺を目掛けて飛んでくる。
「エノア、ここは私に任せて! 聖技、『天雷の守り』!」
ティアが俺をかばって聖獣のスキルを発動した。
「その獣人の攻撃には、聖属性が宿っていました。私のスキル『魔剣士』はあらゆる属性の魔法を扱えます」
そう言って、トレシアは笑う。
「――この属性は貴方の弱点ですよ?」
その言葉のとおり、ティアの守りを貫通して闇のオーラがティアを吹き飛ばした。
「きゃあぁぁぁ!」
「ティア!」
俺はすぐに走って、飛ばされたティアを抱きかかえる。
「うぅ……か、身体が動かない……」
「ティア! くそっ!」
闇のオーラを纏ったトレシアは不敵に笑う。
「次はエノア様です。いきますよ」
「キャ、キャンプスキル! 『着火』!」
俺の目の前に大きな火柱が上がる。
「どうされたんですか? エノア様、狙うなら私を狙わないと。まぁ、火炎も私の剣で対処できますが……」
「キャンプスキル! 『水汲み』!」
直後、火柱に大量の水が注がれる。
「自分で起こした火を自分で消した……? どうしてそんな不毛な――これは!?」
大量の水が蒸発し、周囲は深い霧で包まれた。
――――――――――――――
【業務連絡】
ステータスを扱ってみました!
矛盾やツッコミどころがありましたら、是非コメントで優しくご指摘ください!
何卒、よろしくお願いいたします!
<(_ _)>ペコッ
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