チャンス・オブ・ア・ライフタイム 《両性で見た目美女能力者になった俺は憧れのスーパーヒーローになる》

第1話 変身 第1部始

皆さん、遂に、今夜世界が団結し飛来する隕石を破壊することに成功しました！繰り返します！隕石の破壊に成功しました！繰り返し......

　世間でこの約半年間騒ぎ続けた隕石は破壊されたようだ。成功の確率は低く暴動が起きる可能性があると発表すらしなかったのに成功した、が残骸が飛来する事は確定しているが、一応死者は出ない予測らしい。

　俺は二重で安心した、この身や大切な人、地球が助かった事と、ヤケになり犯罪者サイドになり罪を犯さなくて良かった事。

　世界中で私のように精神病を抱える者に失う物が少ない、もしくは無い無（・）敵（・）の人間が徒党を組み殺人やら略奪を繰り返していた。更には、アフターメテオというカルト宗教が現れたりと、神に縋るしかない人間を利用して犯罪行為をするというクソ集団が増えていった。

　私も自由に真似したい邪な気持ちと、憧れているスーパーヒーローのように止めたかった気持ちで矛盾を抱えていた。

　しかし、俺は俺の正義で行動する事に決めた。だが現実は非情でスーパーヒーローの様に、あちこちの罪なき被害者を助ける事は出来ない。目の前で助けを求めている人しか助けられなかった、ただ助けた方に感謝されたその事実のおかげで、私は嬉しく奮い立った。自警団（ヒーロー）ごっこをして私人逮捕系配信者（偽善者のクズ）の様にならない様に、目の前で起きた殺人事件になりそうな暴行事件に、強盗事件などの凶悪なものだけを、自分の趣味で作ったスタンガンなどの武器で違法スレスレで対処し続けた結果、警察の方々が非常事態による特例などで俺を特別治安維持官と言う名目で仲間扱いにしてくれた。その後、俺はヒーローごっこの一般人から、明確な影響力のある敵（ヒーロー）として悪人のグループに認識された。そして、そいつらに罠に嵌められリンチで殺されかけたせいで、隕石が破壊された今日も入院し続けている。

　病院が墓場じゃなくて良かったなと思った。だが、人間は貪欲なもので見返りを求めた訳じゃないが、根本から両足、左の視力聴覚失って現状（これ）じゃあ虚しいなと思ってしまう。とは言え国が、俺のような人達を悪に抗ったヒーローとして表彰して、世界の一部でも希望を捨てなかった者と報道されて一躍時の人となった。死ぬほど嬉しいかったけど、それで悪人共に顔割れちゃったし更に目をつけられちゃったんだけどね...... まあ治療費も負担してくれたおかげで警備が強い病院の個室で入院出来ている。

　テレビで7チャンの特番ニュースを見ていたが、みんなが助かって良かったなという気持ちで泣き疲れてしまった。

　窓からの夜風が気持ちいい、抗生物質や精神安定剤と睡眠薬も飲んだし寝よう。脚は無くとも明日がある喜びを噛み締めて......

　AM6:24 病室

「朝か......朝だ！本当に隕石は無くなったんだ！！」

　俺は新しい日を迎えて完全に恐怖が消え、改めて生の実感を噛み締めて声を上げていたが異変に気がついた。

「声が変......？喉もおかしくなったか？いや、違う......なんだすごいデカい胸がある？女......？俺は女になったのか......？夢？あの世？」

　――身体の異変に気がついた、俺は確実に女になっていると。確実に確かめる為にある部位に手を伸ばした。

「え......？生えたまま？ん？？まてよ......穴も２つある！？！？てか、根本から削がれた脚も完全に生えている！！？？しかも、スーパー美脚！？」

　俺は急いで、久しぶりに自分の脚で床を踏み車椅子を退けて鏡の前に立った。

「なんて......なんて美人なんだこれ！？圧倒的美白！しかも、オッドアイ！？紅色と青色で、長髪になっていて青い？というか昔より身長も遥かに高くなっている気がするな......てか、本当に俺の顔の面影がない......親からの最初の贈り物なのに......それよりちょいと待てよ......」

　俺はかなりマズい事に気がついた、そうこの俺が梶原貴音（かじはらたかね）と証明する物がない事に。あと俺の性別はなんだ？心は両性か無性かな〜くらいに思っていたが身体がどちらにもとなると何になるんだ............

「俺......いや、私でいいか......そもそも私は本当に昨日の自分なのか......」

　と独り言を繰り返してあたふたしていた瞬間にノック音、朝食の時間だ......とてもヤバい......これじゃあまるで私が梶原貴音を片付けたあとだ......なんて思っていたらドアを開けられた。

「梶原さん、おはようございます！隕石が無くなって本当良かっ......！？！？」

　やばい、いつもの看護師さんに見られた、どうすれば良い......でも不審者がこの個室に入るのはほぼ不可能、ならばここ入院期間で梶原貴音とこの看護師さんしか知らない事を話せば少しは何とかなるはず。

「お、おはようございます〜叫ばないで落ち着いてください、私は梶原貴音です......私と......」

　と立ち尽くす看護師さんに色々と今までの雑談や自分の個人情報を話した上でDNA検査などをしてほしい事も伝えた。

「わ、わかりました......あなたが梶原さんだという事は私は信用します。私の誕生日をわざわざ祝ってくれた事はあなたと私しか知り得ないですしね。今すぐに先生と家族にお電話でお伝えします......」

そう言い、私の前に朝食を置き、急ぎ足で病室を出て行った。頼むからこの流れで警察に通報だけはやめてくれよと思いながらも、腹が減っては戦はできぬという事で食事をする。テレビをつけると隕石が無くなり助かったのでお祭り騒ぎだ。本当に良かったが自分の様な変身した様な人に関する報道がない......自分だけなのかと不安になっていると再度ノック音。

「梶原さん！梶原ｧ！？本当に......看護師が浮かれて冗談を言ったのかと......」

　医者が驚き過ぎて呼び捨てになっているが無理もないと思っていたら。

「事実ならば、あなたの身体に起こった異変全てに前例がありませんので精密検査を行います。ご家族もそろそろ到着されると思います。それと形式上は警察にも連絡をしました。ですが、ご安心ください。私たちはあなたを信用し全面的にサポート致します」

　まあ通報されたが本当に良かった、人と仲良くなりやすい性格で本当に救われた。それによく考えてみたら、ここの管轄の警察は自分が人助け活動した時に仲良くしてもらった人達だ。取り敢えず精密検査やら、恐らくされるだろう事情聴取などの面倒事を終わらせよう。

　数時間後　PM4:11 病室

「疲れたぁ〜家族も帰って携帯もリンチの時に壊れて修理出しているしやる事ないし暇だな〜この顔でも眺めているかぁ？」

コンッコンッとドアをノックされる。

「はい？どうぞ〜」

　誰だ、またいちいち説明するのは面倒だなぁ。

「かじ〜本当に見た目が女性みたいになっているし、しかも私より遥かに身長高いじゃない」

　と笑いながら言うこの声は！