No. 38 秘密のチカラ

「影束縛(シャドーボンテージ)…… ?」


「はい。」


『なにそれ……………?』


シエンは静かな声色で淡々と解してゆく。




「影束縛。その名の通り影側の秘めたるチカラ。チェインさんの心の奥深くに眠る、悪い心でしょうかね。」


影束縛…信じられない…!?


「………私に、そんな力がある?」

「………そうです。あるのです。」


シエンが、そっと…手を出した。


「………う、嘘だよね? …冗談だよね?」

「チェインさんにしかない"力"なのです。」

嘘じゃあ、無い。


「嘘つきは鎖さんです。」



その瞬間、シエンの差し出された手が変形。

指先が黒く侵食しバキバキと音を鳴らした。

そして、その手が覆い被さる様にチェインを

縛り付けた。


『……………っ』

口元を覆い被され言葉が発せられない。


「その力をください。嘘つきな鎖さん。」


なんなんの…シエンくんて…?


踠くほどに息が荒くなる。


「ボクは知っています。小さな頃から鎖さんを見ていました。

…見守っていました。」


シエンくん…?


「影は、そこに人が居るから、影が生じるのです。

太陽と伝う光あってこその、主役がです。」


と、シエンの微睡んだ瞳が、キッと、鋭利な

瞳に変わった。

凄まじい、鎖が自分の思い通りにならない苛立ちと強い攻撃の合図だ。


「その力を頂きます。是非とも、地球を浄化するた為に使わせて頂きます。以上です。それではっーーーーー!!」


チェインにまとわりついている黒塊が"ドクン"と始めの吸引を行う。

その瞬間チェインの身体が力を奪われてゆくーー…


「…っ。」

「その力を吸引終えましたら、今度は解放 しますから。ね?」


し、しんじ、られ、ない…。

こんなこと……………

現実な、の、……?


キ… ァ…ッ…






「おい。」

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