コロッセオの獅子たち
ケニ
運命の呼び声
西暦70年、ローマ帝国。18歳の青年ルキウス・アウレリウスは、帝国の首都ローマへと向かう旅の途中だった。彼はローマの郊外で生まれ育ったが、剣闘士になるという夢を抱き、名高い剣闘士養成所がある首都を目指すことにしたのだ。ルキウスは旅の途中で美しい湖畔に辿り着き、休憩を取ることにした。湖の静かな水面に反射する太陽の光が、穏やかな波紋を作っていた。
「ルキウス、ここで休むなんて。早くローマに着きたいはずでしょう?」
ルキウスの隣には、同い年の少女アリア・フラヴィアがいた。彼女はルキウスの幼なじみで、彼に密かな想いを寄せていた。アリアは長い黒髪を後ろで一つに結び、青色のトガを身にまとっていた。
「ああ、でもこの景色を見ずに通り過ぎるなんてできないよ。それに、剣闘士養成所はどこも年中受け入れてくれるらしいから、急ぐ必要もないだろう?」
ルキウスはそう言って笑った。彼は鍛え上げられた肉体を持ち、明るい茶色の髪と鋭い目をしていた。
「そうね、確かにここは美しいわ。でも、あなたが早く剣闘士になりたいと思っていることも知っているの。あなたのその情熱が、私をここまで連れてきたのよ。」
アリアは湖を眺めながら微笑んだ。彼女の瞳は湖の色と同じ青色をしていた。
ルキウスは立ち上がり、アリアの隣に立つと、湖の向こう側に広がるローマの街を見つめた。そこには、巨大な円形闘技場であるコロッセオの建設現場が見えた。
「あれがコロッセオか...。いつかあそこで戦う日が来るのだろうか。」
ルキウスは感嘆の声を上げた。コロッセオは既に巨大な規模を誇り、何千人もの観客を収容できるように設計されていた。
「きっと戦うわ、ルキウス。あなたの腕前なら、すぐに剣闘士として有名になるわよ。」
アリアはルキウスの腕にそっと触れた。ルキウスは彼女の優しさに勇気づけられた。
「ありがとう、アリア。君の言葉はいつも僕の力になる。」
ルキウスは決意を新たにし、アリアと一緒にローマへと向かった。
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