第98話 カラオケ
その後、マックを出た俺たちは下通を歩く。すると、カラオケ屋の前で達樹が騒ぎ出した。
「カラオケ行かね? ぱーっと行こう!」
「うん、いいね!」
陽春も賛成する。だが、俺はカラオケなんてほとんど行ったことがないし歌う曲も無いからあまり行きたくない。笹川さんも少し渋い顔だ。こういうときは陽キャの達樹、陽春と、そうじゃない俺、笹川さんに別れがちだ。
「理子、行こうよ。騒ぎたい!」
陽春が言う。
「私が歌わないでいいならいいよ」
「うん! わかったから。和人もいいよね?」
「俺も歌う曲無いぞ」
「いいからいいから」
そう言って結局、俺たちはカラオケに入った。
「ようし、俺が一曲目行くぞ!」
達樹が曲を入れる。これは最近のアニメの主題歌にもなった曲だな。良くこんな難しい曲歌えるな。俺は感心して聞いていた。
「じゃあ、次は私!」
陽春が入れた曲が流れ出した。これは『デデデデ』の主題歌か。陽春と一緒に見に行った映画だ。これなら俺も知ってるぞ。
陽春が歌い出す。途端に大音量で音が鳴り響きだした。陽春の声が大きいのに加え、マイクでさらに大きくなっている。俺は慌てて耳を押さえた。達樹も押さえている。でも、笹川さんは平気のようだ。俺は慌ててマイクの音量を抑えた。
少しはマシになったが、相変わらずでかい音で、陽春は歌い続けた。
「あー、すっきりした」
ようやく終わった。俺の耳は少し耳鳴りしている。
「いやあ、すごかったなあ」
達樹が言う。
「そう?」
「陽春、もう少し音量押さえようか」
「そうだね、ごめん」
「それにしても笹川さんは平気なの?」
「ん? 何?」
笹川さんは耳から何かを外した。耳栓か。
「陽春とカラオケに行くときはこれ必須だから」
「なるほど……」
俺も用意するようにしておこう。
◇◇◇
結局、2人しか歌わないから1時間でカラオケを切り上げ、下通りに出た。
「うーん、じゃあ、今度は和人が行きたいとこ行こうぜ」
「いや、俺はいいよ。結局本屋になるし。だから、笹川さんが行きたいところ行こう」
「私? うーん、そうだな……あると言えばあるけど」
「え? どこ?」
陽春が聞く。
「猫カフェ」
「あー、理子、猫好きだもんね」
「そうなんだ」
「うん」
言われてみると、笹川さんは少し猫っぽいかも。
「どこかある?」
「確か、ココサにあるな」
達樹が言った。ココサはすぐ近くの商業ビルだ。
「よし、行こう!」
俺たちは猫カフェに向かった。
早速、俺たちは4人で猫カフェに入る。俺は初めての猫カフェだ。猫が何匹も居て自由に歩いている。ここは座席の背もたれが猫が登れるように高くなっていて、そこを猫たちが行き来している。
「うわあ、いっぱいいるね!」
陽春がはしゃぎだした。猫じゃらしで猫と遊んでいる。
笹川さんも猫じゃらしを持って猫と遊びだした。見たこと無い笑顔だ。
「ほんとに笹川さん、猫が好きなんだな」
俺は達樹に言った。
「俺も猫好きとは知ってたけど、ここまでとは知らなかった。いい顔してる」
そう言って、自分も笹川さんの横で遊びだした。
俺も陽春のそばに行くか。
30分しか居なかったが、笹川さんは十分満足したようだ。
俺も正直楽しかった。
――――
新作ラブコメ「夏休みに部活帰りのクラスメイトと毎日会ってます」の公開を開始しました。こちらもよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます