声が大きい元気系美少女が陰キャの俺を好きらしい
uruu
第1話 高校二年の初日
俺、
だが、周りに人が居ても居なくても同じ事だ。周りと話すことがほとんど無いのだから。俺は小説を取り出し、読み出した。最近のお気に入り、アイザック・アシモフの「ファウンデーション」だ。古いSFだが俺には新鮮に感じる。次第に夢中になってきたところで前の席に誰か来たことに気がついた。
だが、無視してそのまま読み進める。ちょうど面白いところだ。それに、俺は一年生の時もほとんど誰とも話していなかった。二年生でも変わらないだろう。
そう思っていたら、前の席のやつが話しかけてきた。
「よう、俺は
俺は仕方なく顔を上げてそいつを見た。短髪、背は低め。何か軽い感じを受ける表情。陽キャという感じだな。
「俺は櫻井和人」
「そうか。よろしくな」
小林は手を出してきた。握手しろと言うことか。さすが陽キャ。俺は仕方なく握手した。
「気がついたか? このクラス、女子のレベル高いぞ。ラッキーだな」
小林は小声で俺に耳打ちする。小林が見ている方を見ると確かに綺麗な女子が居た。
「……
「知ってるのか?」
「うん、同じクラスだった」
だが、俺は高井立夏と一度だけ関わりを持ったことがあった。ある雨の日、傘を貸したのだ。そのあと、お礼の手作りクッキーをもらった。今までの高校生活で俺が最も女子と関わった出来事だな。。
「他にも居るぞ。高井さんの隣にいる
確かに。茶髪のロングヘア。気が強そうな子だが、人形のように綺麗だ。
「へぇー」
俺はあまり関心を持てずに言った。
「俺、彼女と別れたばかりだし、新しい恋がしたいんだよなあ」
小林が言う。
「そうなんだ」
確かに小林は彼女が居てもおかしくなさそうなやつだが、別れたばかりですぐ次の彼女を探しているのか。
「で、お前、彼女は居るのか?」
小林が聞いてくる。
「居るわけ無いだろ。彼女居ない歴=年齢だよ」
「何偉そうに言ってるんだ。お前、彼女作らないって決めてたりするのか?」
「決めてない。作れないだけだ」
「なんだ、そうか。じゃあ、一緒に作ろうぜ」
陽キャの軽いノリだ。
「無理だよ、俺には」
「なんだよ、冷めてるなあ」
俺に彼女を作らせようなんて、とても無理だ。男子の友達すら居ないのに。
そこに大きな声が響いた。
「2年1組になったみなさん! おっはようございまーす!」
扉の方を見ると、そこにも可愛い子が居た。髪は茶髪っぽいショートボブ。笑顔が似合うこの子のことを俺は知っていた。
「あー、浜辺さんも同じクラスだったな」
小林も知っているようだ。
「……なんだ、櫻井。浜辺さんのこと気になるのか?」
俺は浜辺さんとのことを思い出して、目で追ってしまっていた。
「ち、違うよ。確か知ってる子だなと思って」
「まあ、浜辺さんは有名人だからな。とにかく騒がしい元気っ娘。だが、可愛いのは間違いない。競争率は高そうだぞ」
「そ、そんなんじゃないから」
俺は目をそらした。
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