17

 白く輝く小さな鍵はホラーのてのひらの上からだんだんと透明になって最後には消えてしまった。でも鍵はなくなってしまったわけではない。それがホラーにはわかっていた。

 ……私は鍵を手に入れた。あとは白い梯子を見つければ私は夢にまで見た地上にまでいくことができる。

 ホラーはそっと隣のベットでまだ気持ちよさそうな顔をして眠っているメロディを見た。そしてメロディの寝顔を見ながら、ホラーは一人、その大きな青色の瞳から涙を流した。(メロディが起きるころにはちゃんと涙はふいていた)

 ホラーはベットから抜け出ると、食事をするテーブルのところまで歩いていく。そこには親子のお母さんと娘の獣の頭蓋骨の骨が置いてある。

「この鍵はあなたたちが私にくれたの?」と骨を見ながらホラーは言った。でも、もちろん、獣の頭蓋骨の骨はなにもホラーには言ってはくれなかった。

 メロディは珍しく自分よりも早く起きているホラーを見てびっくりした。そんなメロディにホラーは「おはよう。メロディ」と心をこめてそう言った。

 穴掘りの仕事はいつものようにきつかった。体中が悲鳴をあげていた。ホラーはいつものように穴掘りの仕事を辞めたいと思った。スコップをせっせと動かしながら、ホラーは隣で一生懸命穴掘りをしている友達のメロディを見た。

「メロディは私がいなくなったらさみしい?」

 休憩中に食堂でメロディと一緒に固いパンを食べながら、ホラーは言った。

「さみしくない」固いパンをほおばりながらメロディは言う。

「本当に?」

「本当だよ。さみしくない」とホラーによりかかりながらメロディは言った。

 穴掘りの仕事でくたくたに疲れたので、家に帰ると、メロディと順番でお風呂に入って、ささやかな晩御飯を食べて、ホラーは倒れるようにして自分のベットの中で目をつぶって眠りについた。(メロディも同じように自分のベットの中で眠りについた)

「おやすみなさい。メロディ」とろうそくの火を消したあとの真っ暗な闇の中でホラーは言った。「うん。おやすみ。ホラー。明日も頑張ろうね」と真っ暗な闇の中からメロディの声が聞こえた。

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