異世界にクラスメイト毎転移させられた、陰キャ少女の心の変化。

その辺の双剣使い

第1話 小石川早紀は陰キャ女子高生



 私はクラスでは全く目立たない子だ。けして、一人の方が楽しいというわけではないのだけども、どう人と接して良いのかがわからない。というよりか、他人の自分に対する評価ばかりが気になり過ぎて、例えば何か質問などをされたとしても、最適な答えを探しているうちに結局黙ってしまう事がしばしば有るのだ。


 なので、周りからはレスポンスの悪い子、全く面白みの無い子、という評価になってしまい、終いには誰も絡んで来なくなるのだ。


 だから、私は大抵いつも一人。


 こんな感じで、小、中学校と殆んど友達の居ない学校生活を送っていた私。


 高校生になってからは、思春期特有の自意識過剰が、更にこの厄介な性格に拍車をかけさせてしまい、益々孤立してしまう事が多くなっていた。


 そんなある日、そう! 文化祭の最終日。あの事件は起こったのだ。


 文化祭の後片付けが大方終わったタイミングで、突然教室の中央から広がりだした転移陣にクラスメイト全員が飲み込まれ、異世界へと転移させられてしまったのだ。


 陰キャな私は、ある程度そういった話に対して免疫が有った為、その状況に適応するのは比較的早い方だった。


 しかし、殆んどのクラスメイト達はと言うと、この特殊な状況に、心が壊れてしまっている者が大半だったと言わざるを得ない状態であった。


 私達に与えられたチート能力......何故か一人だけ、それが付与される事が無かった男子生徒が、いきなり戦地へと送られて、死んだかも知れないと報告されたのに、殆んどの子達が、彼の事を面白おかしく揶揄しているだけで笑ってさえいたのだ。


 そんな光景に、うすら寒いような気持ちになる私。



 仲間同士での訓練も終わり、パーティーが組まれ、邪神の塔という所に挑戦する事になった私達だったけど、ある程度攻略が進んでいたある日、事件は起きたのである。


 最近、パーティー替えによって、新たに仲間となっていた男子三人に突然、私と、もう一人の女子が襲われ、二人ともレ○プされそうになったのだ。


 その子は、私の事を必死で庇ってくれた。


 彼女は向こうの世界にいたら、絶対に絡むような事は無かったはずのギャルな見た目の子だったが、正義感が強く、心が壊れてしまっている子達と違って真面な考え方をするので、こちらの世界ではかなり仲良しになっていた子だった。


 普段の言動からも、かなりのゲスっぷりな三人衆だったので、警戒していた私達は、寝ている間も防御結界や空間結界を分担して張り巡らせ寝ていた。


 しかし、アイツらときたら、私達が寝ている間に荷物を持ち去って何処かへと姿を眩ませてしまい、私達が魔物達から逃げ続け、疲弊しきったところで姿を表し、レ○プしようと襲いかかってきたのだ。


 そのうちの一人が、私の事を後ろから羽交い締めにして言う。


「なぁ、佐瀬川の方はお前らにやるから、こいつは俺がもらっても良いよな?」


「何だよお前、小石川みたいなのが好みなのかよ! そんなブス俺は要らねーから、好きにすればいいさ!」


 こんな乱暴な事をされ、更に追い討ちをかけるように“ブス”とまで言われ、恐怖と怒りが入り交じって大きな叫び声を上げ抵抗する私。


 そんな私を、そいつは容赦なく押し倒して、事もあろうに乙女である私の顔面を殴り付け始めたのである。


 痛みと恐怖によって、私の顔は涙と鼻水と鼻血でぐちゃぐちゃになっていた。


 その状況に、咄嗟に判断した舞香ちゃんは、私の事を救いだす為に、もの凄いスピードてこちらに駆け寄ってきて、そいつの顔面を蹴り上げて私を逃がしてくれたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る