身勝手な願望

群衆のなかの一人でよかった

合間に埋もれている方がラクだった

それでいいとずっと思っていた


それなのに今更

誰かの特別に

かえがたい唯一無二に

なりたいなどと切望している


世界の全てを振り捨てても

選ばれる存在になるには

自分だって

世界の全てを振り捨ててでも

選ばないといけないだろう


それができるのかと

自問自答しても

沈黙するしかないくせにね


寂しい、などと

口にするのか

そんな権利を

わたしは持つのか?


湧き上がる身勝手な願望の

頭を小突いて

黙らせたあとで


バカだね


そっと抱きしめた

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