第7話 タイマン
翔太は決意に満ちたデヴィンの横顔を見て、少し笑った。
(こいつのアーティファクトに対する情熱は本物だ。手助けしてやるか)
「しゃーねぇーな、俺は戦力にならんが戦いやすくする事はできるぜ」
「そうか救世主!で、何をするんだ?」
そして翔太は無言で歩きだす
「おいおい、どこに行くんだ?その方向は転移装置しかないぞ」
「ああ、知ってるさ。だから言ったろ戦いやすくするって」
「………」
「………」シュタ!バシ!?
翔太は転移装置に駆け出したが捕まってしまった。
「テメェ、俺一人置いて逃げるつもりか!」
「当たり前だろ!だいたい病人が戦ったところで足しか引っ張らんやろ!いいから離せ!離さんかい!」
「黙れ。病人扱いして欲しけりゃ骨の一本や二本折れてから言え!このスマホがなけりゃあただの凡人が!」
「おまえ!俺が密かに気にしてる事と言いやがったな!」
ドカァァァーン!!!!!!
今までよりも一際でかい音が洞窟内に響き渡り、二人の喧嘩を仲裁した。洞窟の壁が震え、細かな瓦礫がパラパラと落ちてくる。
「一次休戦だ。音のデカさからして
そう言って、デヴィンは翔太に期待する目を向けた
「そんなもんねぇよ。せいぜい部屋中を粉まみれにして火をつけると爆発するって言う粉塵爆発くらいしか知らん」
「そんな事したら
「お前こそ希代の天才考古学者なら使える
「そんなもん全部借金返済の為に王国に取られたわ!」
「使えねえ」
「何だと!」
ドカァァァァーン!!!!!パラパラ……
翔太とデヴィンが喧嘩している中、突如洞窟の天井が貫かれた。大きな破片が落下し、地面に衝突して土煙が立ち上る。
「ひっひっひ、見つけた」
「おい、終わったぞ。どうすんだ?」
「どうするって何も……」
二人が迷ってるうちに暗殺者は天井から落ちてきた。現れたのは、巨大なパワードスーツを身にまとった男だった。スーツは黒と赤の配色で、全身に鋭い棘のような装飾が施されている。スーツの表面には無数の傷があり、数々の戦闘を経てきたことがうかがえる。巨大なブーツは地面に食い込み、重々しい音を立てている。
「ひっひひ、俺はダガン、綱躯のダガッブヘッ!?」
翔太がダガンが落ちて土煙が上がった瞬間の隙を見逃さず石を顔面にぶん投げた。
「先手必勝、迅速果断、三十六計逃げるに如かず!さらば!」
そう言いながら、翔太は一目散に逃げた。
「おいきゅ「救世主様ぁぁ!!後は頼みます!!」」
翔太はデヴィンが翔太の事を救世主と呼ぶまえにデヴィンの事を救世主と呼んだ。つまり
「ひっひひ、お前が救世主か…舐めたことしやがって」
完全なる、なすり付けである。
「あいつ、いつか絶対ぶっ殺す」
デヴィンはそう言って顔面を殴り飛ばされた。
◇
デヴィンに暗殺者をなすりつけた後翔太は転移装置ではなく
「デヴィン待ってろよ。お前が命懸けで稼いだ時間で打開策……必ず逃げてみせる!」
そう言って翔太は
「うっわ、この短時間ですごい荒れよう」
辺りを見渡した所で翔太はある事に気付く。ここまで一直線に破壊されている事に。そもそも暗殺者が来る事がおかしいのである。普通に行けば3日かかるのもあるが
「位置情報がバレてる。って事か?」
「さすがは救世主様ね、正解よ」
そう言い一直線に破壊された道から黒いドレスを纏った見覚えのある女性が歩いてきた
「興味本位で来てみたけれど、本当に今日は運命に感謝だわ」
翔太の顔に緊張が走る
「……狂乱のエロナ」
「狂刃のエレナよ……」
「……」
「……」
エレナは無言でナイフを投げた
「あっぶ!急に投げるなよ!そんなに名前間違えられたの嫌だったの?」
「……ふふっ、冗談よ。今日はあなたを殺すつもりは無いわ」
「今の間何だよ。て言うか殺すつもりないってどうゆう事だ?」
「そのままの意味よ。実は私あなたの事が好きになったみたいなの」
エレナは頬を紅く染め息を荒げている
「……そうか。大変お気持ちは嬉しいのですが出会って間もないのでお友達からでお願いします」
「だから私、あなたをペットにする事に決めたの!イグニッション!」
エレナは自分の首飾りを握り締めると大きく光り始めた。光が収まると翔太とエレナは黒いただただ黒い世界に二人きりになった。
「いや、流石にペットはダメだろ。恋人関係に上下関係が出来てしまったら片方…主に俺が幸せになれん」
「ここは、あなたの精神世界。知ってる?人間って精神的な支柱を破壊するだけで壊れるのよ。けど安心して、ちゃんと私が面倒見てあげるから、だから見せてちょうだい貴方の過去、思い出、何が好きか嫌いか、初恋は何だったのか、一番悲しい思い出、信念、悩み、復讐や恨み辛みも良いわね、嫉妬、憎悪、嫌悪、妬み、憤り、絶望、とにかく全て、全て全て全て全て全て私に見せて!」
そう言う彼女の表情は愉悦であった。
「そう言うのは付き合って徐々に互いに見つけ合うのが良いと思います」
◇
ドカァーン!!
(何発目だろうか……いや何発撃っても変わりはしないか)
デヴィンはそう言いながら自分の体が再生していくの感じて立ち上がる
「ひっひひ、どうなってやがる?」
「……その
デヴィンはそう言ってダガンが身につけている。パワードスーツに目を向ける
「ひっひひ、これの事か?」
ダガンはまるでおもちゃを自慢する子供のように話始めてた
「ひっひひ、こいつを拾ったのはちょうど2年前、
デヴィンは、奥歯が割れるほど強く噛み締めた。悔しかったのだ悔しくて悔しくて、悔しくてたまらなかった「これを着てれば無敵だ!」と自信満々に渡したのに、渡した相手の命を守らず今やゴミみたいな奴らに利用されてる事に
「……最後にその騎士は何か言ってたか?」
「ひっひひ、そんなのいちいち覚えてる訳ねぇだろ」
「そうか、なら拷問してでも思い出させてやる」
「ひっひっひっ、やってみろ」
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