耳鳴り

自分の心臓の音が

本当にキミに聞こえるんじゃないかと本気で思った


息をするのさえ恥ずかしくて


ふたりきりの部屋


耳鳴りがするくらいの静けさに身体が熱くなる


たぶんキミからしたら

わたしはただの友だち


そんなわたしの気も知らないで

あなたは「卒アルとかないの」

なんて本棚の前で無邪気に笑ってる


「飲み物取ってくるから」っと扉を閉めて深呼吸する


冷蔵庫を開けると2人分のコップに麦茶をついで、ちっちゃなお盆に適当にチョコを盛ったちっちゃな小皿、それら置くとお盆はいっぱいで、わたしはゆっくり2階の部屋に上がった


「おまたせー」って

肩でドアを開けたら


本棚の前、窓から差し込む夕日が

手に取った文庫本に目を落とす彼の横顔を照らしてた


お盆に乗せたコップがカチャリとなって

あなたが振り向く


胸が苦しくなるくらいにキレイで


顔を覆って今すぐ部屋を飛び出したいくらいにわたしは熱くなって


でも


まだあなたの事を見ていたいって


そう思った

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