第11話雨音の夜
雨音に 世界が沈む そんな夜は
ピアノの調べも けだるく滲む
雨は嫌いではない。
たとえ降雨前は低気圧で偏頭痛に苦しもうとも。
しとしとと世界を包んでいく雨は、けだるさとともに、静かに自分を見つめる時間をくれるから。
湿気をたっぷり含んだ空気は重たくまとわりつくけれども、魚になった気分で、水底に沈んでみるのも心地よいかもしれない。
悪天候も楽しめる余裕を持ちたい。ひとりの時間を楽しめるのは、大人の特権だから。
さあ、孤独を楽しもう。
ジャズピアノのメロディとほろ苦い珈琲を一口。
物思いにふけるには、しとしと雨の夜は最適だと思うのだ。
ところで。
五月雨という文字を見ると5月に降る雨みたいですが、実は梅雨時の雨のこと。陰暦の5月に降る雨なのだそうです。現代人が使う暦とはズレが生じているのですよね。
そのせいでしょうか。なんとなく感覚的にもズレが生じてしまうのですが、そこを修正してみると、古今集の紀友則の「もの思ひをれば時鳥」や和泉式部の「ながめの中にながめくれつつ」も情景が浮かんでくるような。
凡人のわたしは、あくまでもそんな気だけ……ですけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます