申の章3 新人魔法少女ナナレイとさの字の令
サバライ城一階の大浴場。
夕日がキレイな檜のお風呂で、タトーとナナレイとトヨカワとサバライ将軍が全裸で背中を流していた。
ナナレイは、タトーの背中。
トヨカワは、ナナレイの背中。
サバライ将軍は、トヨカワの背中。
四人は、一列になって楽しく流しっこだ。
「将軍様、いいのですか? 先にわたくしを洗って」
「いいのだ。そちは、申の試練で酷く汚れているのだろう。わっちは、あとででよい」
「あ、ありがとうございます…………」
「そう言えば、トヨカワさん」
「はい、なんでしょうか? 」
「『さ』のつくものと交換できる法律について説明して欲しいの。この国は、なぜそのルールが出来たのかなぁって」
「『さの字の令』のことですね」
「さの字の令? 」
「はい。元々、この国は物々交換をやっていた国でした。しかし、冒険者が金貨での交換を要求したことで、金貨がこの国の通貨になりました。古くからいる悟り族が『けれど、物々交換のルールを続けたい』と言う、抗議を起こしたのです。なので、『さの字の令』と言う法律が出来ました」
「やはり、昔からのルールを続けたいと言う考えもあるのね」
「ナナレイ。タオルが止まっているよ! 」
「あ、ごめなさい! 」
この体の流しっこは、十分ぐらいで終わった。
サバライ城四階の天守閣。
三日月が輝く夜空の下。
トヨカワと赤い悟り族の娘が、料理をタトーとナナレイ前に置いた。
その料理は、『さ』のつくもののフルコースである。
右奥が、『さ』ばの塩焼き。
真ん中が、鶏の『さ』さみの唐揚げ。
右の手前が、や『さ』いの味噌汁。
左の手前が、『さ』けおにぎりだ。
「いただきます!! 」
タトーは、最初に鶏のささみの唐揚げを食べた。
「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……ゴクン………うおぉぉぉぉぉぉ…………ジューシーでカリッカリ。あたしが、唐揚げを作るとガッチガチになっちゃうのよね」
「ありがとうございます。実はわたくし、関所と竹林の奥にあるブラッサム牧場で料理の料理の勉強をしているのです」
「料理の勉強? 」
「はい、アッシグロ牧場では、料理を得意とするミノタウロス娘がいるのです。わたくしは、その方に唐揚げの作り方を教わりました」
「へえぇぇぇぇぇぇぇ、明日はそこへ行こうかしら。きっと、メニューのバリエーションも増えるかも」
「ありがとうございます! 」
一方、ナナレイは、鯖の塩焼きの骨を箸で取りながら、今日のフルコースについて質問した。
「そう言えば、この料理の食材はさの字の令で取り寄せたの? 」
「ナナレイさん。よくぞ、お気づきで」
「だと、思った」
「ご存じの通り、この料理の食材は、さの字の令で取り寄せたものです。さの字の令で取り寄せた食材は、金貨と比べて長持ちしません。なので、捨てられない内に、フルコースにしているです」
「さの字の令って、大変なのね」
「これも、サバライ国の伝統を守るためです」
「ごちそうさま! 先に寝るね! 」
「え、もう? 早く食べないと。むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ…………うぐっ…………あ……ああ…………」
「おやおや」
「骨が喉につっかえてしまったな」
「はや……く……たすけて…………」
「はいはい」
その後、トヨカワが背中を十回叩いたことで、ナナレイの喉に刺さった骨がポロリと取れた。
そして、夕食のフルコースを終えてナナレイはタトーと一緒に天守閣の下で無事就寝する。
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