第9話 買い物
そうして、俺達は買い物に向かった。
そして、ただいま……俺のスタート地点である洋服屋に来ていた。
「いらっしゃいませ! どの様な服をお探しでしょうか!?
……って、フィン! じゃねーか!?
お前、金はあるんだろうな?」
「ごめんなさい。
ありますから服を見てもいいでしょうか!?」
「あるなら別に構いは、しねーが……」
「おい! オヤジ久しぶりだな!!!
久しぶりの再会なのに、なかなかの物言いじゃねーか!!!
俺は、忘れてねーからな! 俺を捨てたお前の事を……俺がどれだけ! どれだけ……
あの後、苦労をしたか……お前に、分かるのかーーー!!!」
『どうしたんですか!? ドック……』
「フィン! 良いから、このオヤジを殺せ!
さっさと殺せーーー!!!」
『ダメですよ! しかも、僕が勝てる訳ないじゃないですか!!!』
「そんな事は、知らん!
とりあえず俺は、コイツだけは許す事が出来んのだ!!!」
「そんな事を言われても……」
「…………?
何だ!? どうしんだ?
用がないなら商売の邪魔だからどっかに消えろ。」
「うるせー!!! クソジジイ!!!」
「……何でもありません。少し服を見させて頂きます」
そうして、俺は怒りが収まらないままフィンの服を選ぶ事になった。
*
*
*
「お金は本当に、大丈夫なんですか!?」
「……ぁぁ……金ならある」
「では、これにします。」
フィンが選んだ服は、この店で1番安い物だった。
「……もう少しいい物を選べよ。」
「いや、でも……悪いですし」
「子供が気にするな! あの服なんて良いんじゃねーか」
「これですか……?」
「ああ……良いんじゃねーか! 着てみろ。」
「こんな高い服……」
「いいから、いいから!!!」
そう言って選んだ服は、フィンの髪と同じ色の白をベースとした民族衣装みたいな服だった。
「……ど……どうですか?」
「…………ぅ……ん…………似合ってる似合ってないの前に、前が見えない。」
「えっ!? 確かに、顔が隠れてしまいますね。……どうしましょう?」
「どうしたものかね……」
『服自体を食べて吸収すればよろしいかと。』
「え!? そんな事を出来るの?
まぁ、良い物は試しだ! フィン服を脱げ」
「あ……はい! どうしたのですか?」
「それから脱いだ服を俺の口元に持って来てくれ!」
「……分かりました。」
そして、俺は服を食べ始めた。
ムシャムシャ……ムシャムシャ…………
「うわっ! 服を食べてる…………美味しいんですか?」
「……なんか…………何と言うか……美味しくは無い。」
ゴックン!!!
『白の民族衣装を吸収しました。
衣装を変えますか?』
「イエス!」
すると! フィンの着ていたコートが民族衣装へと変化した。
「うわっ! 衣装が変わった。
何ですか? これ!? どうしたんですか???」
「まぁ、俺のスキルによる物だ!!!
そうだ! フィン良い事を考えた。
好きな服をありったけ持って来い!!!」
「……ダメですよ。」
コイツ……俺の考えてる事が何で分かった!?
まぁ、分かるか……!!!
「他に欲しい物は無いか?」
「一着で十分です! 二着以上だと色々説明をするしか無いので……」
「それもそうだな……このスキルを使えば服なんて盗みたい放題だからな。
とりあえず、疑われないようにこの服の金だけ払って店を出るか。」
そうして、俺達はオヤジに服の代金を払って店を後にした。
*
*
*
「それにしても……あの民訴衣装! 意外と高かったな。」
「申し訳ございません。」
「いや、気にするな。
あれを選んだのは、俺だ!
とりあえず、残った金で剣でも買うとするか?」
「そうですね。
武器がないとモンスターと戦えませんからね。」
それから俺達は、武器屋で残ったほとんどの金を使い果たし……ショートソードを手に入れた。
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