第10話 レベル800越えっておかしいですよね?
俺は浅草にあるダンジョンの中を進んでいく。
建物は石で出来ていて、見た目はどこかの古い遺跡のようだ。
「ダンジョンの最下層にはボス部屋があり、そこのボスを倒してダンジョンコアを破壊すればダンジョン崩壊が始まります」
・早くやれ
・いくら★1でも一人はきついだろ
・そのきもい仮面取れ
やっぱり釣りタイトルで配信したら、人は見に来てくれるけど否定的なコメントばっかりだな。
「いやいや、これを見ている視聴者さんにも★1ダンジョンくらいは一人で攻略できるようになってもらいますよ!」
★が低いダンジョンのほど出現率は高くなる。
しかし現在、探索者の数が足りておらず、高ランク探索者は★2~3のダンジョン攻略に人員を割いているみたいだ。
「★1ダンジョンは数多く出現しています。しかし、高ランクの探索者は儲からない★1ダンジョンをわざわざ破壊しに来ません。つまりほとんど放置状態です」
・たしかに
・スライムの魔石なんか一個一円だぞ
・★1は増えていく一方だな
「収入はとても大事です。ということで皆さんには★1で稼げる方法を教えようと思います!まずは手っ取り早くボス部屋まで行っちゃいましょう!」
【サーチ】
スキルを発動すると、ダンジョンの構造や魔物の位置情報が頭の中に入ってくる。
「それではよく見ていてください」
俺はぎりぎりドローンが付いてこれるスピードで移動し、道中にいたスライムを瞬殺していく。
・速すぎだろ!
・このスピードで動きながらスライムの核を的確に狙ってるのか?
・こいつ本当に人間?
「スライムの魔石は一々拾っていると効率が悪いので無視していきます」
そのまま一直線にボス部屋に向かって移動する。
そして1分ほどで大きな両開きの扉の前に到着した。
「はい、ボス部屋の前まで来ました~」
・これCG?
・やらせだろ
・いくらなんでも早すぎる
そんな否定的なコメントを無視して扉を開けて、中に入る。
ボス部屋の中には、短剣を持った耳の長い緑の小人が3匹と杖を持った緑の小人が2匹いた。
「というわけで今回のボスはゴブリン3匹とマジックゴブリン2匹ですね」
「グギャギャ!」
「ギャオ!」
5匹のゴブリンが俺に向かって、声を出して威嚇する。
俺はドローンを定点モードに切り替えて、全体が撮影できるようにする。
「とりあえず俺の実力を見てもらおうと思います。一瞬で終わりますからよく見ていてくださいね!」
そう言って剣を構え、ふぅと息を吐く。
一瞬でゴブリン達の後ろに移動し、マジックゴブリンの首を一匹ずつ撥ねる。
「ギャギャ!?」
ゴブリンが倒された仲間の死体を見て、声を出す。
俺は剣を構えて、剣に魔力を流すと剣身が赤く光り始めた。
【三連火炎突き】
素早く三回突くと三つの斬撃がゴブリンに向かって飛んでいく。
「ギャ―—」
「グギ――」
「ゴガ―—」
三つの燃える斬撃はゴブリンの頭を跡形もなく消し、ダンジョンの地面を削りながら進んでいく。
やがて壁に当たると大きな轟音が三回鳴り響く。
俺は剣を腰に帯刀し、ドローンに向かって歩いていく。
「皆さん、今の戦いは参考になりましたか?もし魔物との実力差はかなりある場合でも油断せずに、攻撃させる隙を与えず一気に勝負を決めましょう」
そう言いながらコメントを確認したが、俺が戦っている間からコメントが一つも流れていなかった。
「あれ?視聴者いなくなったのか?」
しかし同接は230人と表示されており、むしろ先ほどより増えていた。
・思わず見とれてコメント出来なかったわ……
・動きが見えないから参考にならん
・こんな戦い方できる奴見たことないぞ!
すると一気に大量のコメントが流れてきた。
その様子に俺は肩をなでおろす。
びっくりした……、配信止まったかと思った。
・てかレベルいくつなん?
・レベル教えろ
そういえば半透明のパネルでステータスが見れるんだったな。
「ステータス」
俺がそう言うと半透明のパネルが出現し、自分のステータスが表示された。
皆川 悠馬
Lv:836
職業:勇者【SSS】
MP:17465/17480
攻撃:127950
防御:114987
俊敏:78648
知力:74697
魔攻:123797
▼
「……」
今までステータスというシステムがなかったので、他の人のステータスがどのくらいかは分からない。
だが俺のステータスが異常なのはなんとなく分かる。
「レベルは836ですね……なんちゃって!」
・おもんな
・世界で一番レベルが高い探索者の『
・でもこいつ相当レベル高そう
「あははは……ごほんっ」
空気を変えるために口に手を当てて、わざとらしく咳払いする。
「ここからからが重要です。よく聞いていて下さい」
俺はボス部屋のさらに奥の部屋に向かう。
その部屋の中には野球ボールほどの大きさの透明な石が置いてあった。
その石には管が付いており、その管は石から何かを吸うようにドクンドクンと動いている。
「これがダンジョンコアです、★1なので小さめですね。皆さんはここまで来たら何をしますか?」
俺はカメラ目線で視聴者に問いかける。
・コアを破壊するに決まってるじゃん
・破壊以外にやることある?
「普通の人はここでコアを破壊し、ダンジョン崩壊をさせます」
コアが破壊されるて一定時間経つとダンジョンが崩壊する。
その時にダンジョンの中にいた人達は自動的にダンジョンの外へワープさせられる。
「しかし、今回は……」
俺はコアについている管を切る。
管を切ると断面から音立てて濃い煙が出る。
するとダンジョンが小さく揺れ始める。
・どこ切ってんだよ
・管じゃなくてコア破壊しろよww
俺はコアを手に取る。
「ダンジョンが崩壊する前にコアを持って脱出します!」
そういうと俺はダンジョンの出口に向かって、ダッシュする。
・は?
・何やってんのこいつ
・おもろいw
そのまま最短ルートを通ってダンジョンの外まで走る。
「これで良し!」
ダンジョンから脱出して後ろを振り向くと、ダンジョンが一気に崩れ始めた。
・マジで持って帰って来たw
・頭おかしいw
・面白いからチャンネル登録したw
「よ~く見ていて下さいね」
俺はカメラに向かってダンジョンコアを見せる
するとダンジョンコアが緑色に変化した。
・え?
・これってもしかして……
・魔石じゃね?
「そうです!なんとダンジョンコアを外に持ってくると魔石に変わるのです。しかもこの大きさは★3に出てくる魔物と同じくらいですね」
・この大きさなら20万くらいになるぞ!
・こんな情報初めて知ったわ
・ちょっと★1ダンジョン行ってくる
「この方法を使えば★1では通常入手できない魔石が手に入ります。しかしダンジョンが崩壊する前に脱出しなければいけないので、俊敏のステータスが高い探索者におすすめのやり方になりますね」
俺の解説にコメント欄がすごく盛り上がっている。
そして同接はなんと830人!
ふふふ……計画通り。
これでみんな『デルタ』に興味を持ってくれたはずだ。
「それではこの調子で今日中にあと4個、ダンジョンコアを持ち帰ってみましょう」
俺はカメラの前で四本指を立てて、そう言った。
――――――――
【あとがき】
今回で10話になりました。
皆様からの反応が多くて、とても嬉しいです!
少しでも面白いと思った方は★★★評価、続きが気になった方は作品フォローお願いします!
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