青いスカートを履いた猫 死体集め編

KANA

第1話 失った者と得た者


シナモンとカルツは要塞へと向かった。

「猫…」シナモンの気分は最悪だった。

自分のせいで猫を殺す事になってしまった

からだ。

「キツいだろうが今は耐えてくれ」

カルツが慰めをくれた。

シナモンは何も返さず真っ直ぐ要塞へ

向かった。

「おーい!おーーい!」見覚えのあるサンタ帽がこちらへ走ってくる。

「ブルース…生きてたか…」

ブルースはピンピンしていた。

「増援の兵士も殺した!

今がチャンスだ!…誰だお前?」

カルツはビクッとした。

「今は説明している暇はない…

一つ言えるのは作戦は失敗だ…

要塞に戻るぞ」

ブルースはあっけらかんとしている。

「はぁ?…まぁ、その様子を見ると

そのようだな…とにかく従うよ」

3人で国の入り口へ向かう。

ブルースが兵士を倒してくれたおかげで

帰り道で襲われることは無かった。

そして3人はパンプの移動要塞へ戻ってこれた。

だが、要塞は煙をあげ所々に傷がつき

襲われたと一目で分かった。

「あぁ…そんな、パンプまで…」

シナモンは絶望していた。

「シナモン…これは…」

ブルースも悟ったようだ。

カルツは何も言わなかった。

「あれ?シナモンさん?」

要塞から出ている煙に紛れてカボチャ頭が

こちらへ近づいてきた。

「パンプ‼︎お前!無事だったか!」

シナモンがパンプに抱きつく。

「うげぇ、苦しいですよ…

…とりあえず、色々話す事も話してもらう事が多いので、まだ安全の要塞の部屋で話しましょう。

全員何も言わず、人が何人か入れる大きさの

カボチャに入っていった。

「色々聞きたい事がありますが

まず、猫さんはどこですか?

あと、そっちのツギハギの方は誰ですか?」

開口一番にパンプが切り出した。

シナモンは今までの出来事を事細かくパンプとブルースに話した。

「そう…ですか…」パンプはそれ以上言葉を

履かなかった。

「マジかよ、シナモンもいるし余裕で勝ったと

思ったんだけどな〜」

ブルースは惜しかったな〜みたいな場違いの

反応を見せた。

「カルツさんに聞きたい事があるんですけど」

パンプがカルツを見つめる。

「なんだ?」

「カルツさん…あなたはそんな強い力をもっているのになんで兵士の下っ端なんですか?

それとシンプルにあなたの事情とか

教えてもらえますか?」

確かに、と皆カルツを見る。

「そうだな…自己紹介も兼ねて色々説明する。

俺はカルツ、教団第一部隊の下っ端…

いや…元下っ端だ。

みんな知ってる通り、ブルースカートと

同盟を結んだ国は100%が信者になり

18歳を超えると「徴信者令」が出て

強制的にランダムで兵士に抜擢される。

ランダムだから素性も能力も調べられず

ただの人壁としての人材だ。

それで俺の力の事はバレてない。

そして俺のこの力だが

俺もよく分かっていない

生まれつき指の先っぽがなくて

そこから煙が出続けていたんだ。

それでその煙に浸かった病院の死体が

動き出した。

それからこの鉄の指をつけて抑えている。

まぁ、簡単に言えば、常に魔法が出続ける

魔法使いみたいなものだ

んで本題だ、この全人類が望んでるだろうが

ブルースカートを潰して、世界の平和を

取り戻したい、単純な願いだ。

アンタらがゲルストを潰したと聞いた時

コイツらだ、コイツらならやってくれる!

と思ったんだ」

シナモンが口を出す。

「でも俺達が行く事も知ってたって言ってた

よな?

じゃあなんで猫が死ぬ事を避けられなかったんだ!」

シナモンが硬いカボチャの壁を殴る。

「下っ端には情報は必要最低限しか

教えられない。

猫の弟が来る事だって知らなかった。

お前らが奇襲してきて兵士達が肉塊になってる間に色々準備してたんだ。

それに俺一人が頑張ってもどうにかなる

相手じゃないぞ

ブロ共和国の教祖は」

シナモンは興奮を抑えた。

「…悪かった」

シナモンは猫が死んだ事で頭がいっぱい

だった。

数分、皆んな黙り、満を持してシナモンが

喋った。

「ブルースは…ずっと戦ってたんだよな?」

シナモンがブルースに確認する。

「そうだな、ずっと兵士を殺しまわってたな」

ブルースは一人で戦っていただけだった。

「んでパンプ、お前は何があったんだ?」

全員がパンプに注目する。

「捨て身カボチャを放出してみんなが出てった後に

ブロ共和国と全く関係ない方角から

とても大きな「赤色の牛」が物凄い勢いで

要塞に突っ込んできたんだ。

要塞は見ての通りボコボコになって

そのまま牛はどこかに行ってしまった。

僕は牛に襲われてから気絶してて

今さっき起きたばっかりなんだ」

パンプは頭を振る

「色々急な事が多いな…でもこのままじゃ

いけない!

今のホワイトスカートは弱すぎる!

仲間を集めよう」

シナモンが立ち上がる体を震わせる。

「何をするんだ?」

ブルースも頭を振る。

シナモンは聞かれたらが何も考えていなかったので固まってしまった。

「俺の力を使おう。

死体を集めて部隊にしよう!」

「賛成!」

食い気味にシナモンがカルツを叩く

「イテッ…

死体はブルースカートの占拠する

大墓場に大量に放置されてるはずさ

そこ行こう」

カルツは外に出た。

「大墓場って遠くない?ここから

300キロくらいあるでしょ

それに今は移動手段ないんだけど」

シナモンもカボチャからでた。

「あ、それなら大丈夫です!

これを見てください」

パンプがさっきまで入っていたカボチャに

何かしている。

その瞬間!

カボチャから2頭の馬が出てきた!

「うわぁ!馬だ!これで馬車になるな!

これが本当のカボチャの馬車だ!」

メンバーは全員乗りパンプが馬の

ケツを叩く。

ヒヒーンと叫び馬は走り出した

「パンプ?車輪はないのか?」

パンプは困った顔をしている

「まぁ、300キロくらいこのカボチャは耐えて

くれるでしょう!」

そうだなっと皆んな笑いました。

「それはそうとお前いつまで青いスカート

履いてるつもりだ?」

シナモンがカルツに詰め寄る。

「え?あ…そっか、」

カルツがスカートを脱ぐ

「でも何も履かないのは嫌なんだけど」

カルツはデカい隠棒をチラチラさせながら

堂々としている。

「じゃあなんで勃ってるんだよ」

ブルースがカルツの息子に蹴りを入れる

うゴォっとカルツは倒れてしまった

「ガキみたいな事してんな!」

とか言いつつシナモンも蹴った

「確かに仲間に露出狂がいるのは目立つな

でもスカートはないぞ…あ、思いついた」

そういうとシナモンは自分の皮を剥いだ

「あぁ!皮は白くなるな!

それでスカートを作ろう!」

皆んなでシナモンの皮を剥ぎ大きなスカート

が出来上がりました。

「うわぁそんな奇食悪いもんやめて

くださいよ」

パンプが引いている。

「良いだろ別に、なんだ?俺の事を気色悪いと

言いたいのか?」

シナモンがめんどくさい女みたいなテンションでパンプにガンを飛ばす。

「気色悪いです」

そうだよな〜っと皆んなまた笑う

カルツは恐る恐る皮のスカートを履く

「うわぁ、なんか擦られて…すっげぇちんこ

擦られんだけど…」

着心地悪そうにカルツがモジモジしている。

「そうか…それは多分お前が感じやすいだけだ

切り落とせばいいんじゃね」

ブルースが杖をちらつかせる

「やめてくれよ…俺も子孫残してぇよ」

カルツはブルースから離れる

「残せるわけねぇだろ

こんなに人口も減って、女なんて

今や天然記念物だぞ」

ブルースはその事実に受け入れなそうだった

「確かにな〜人口が少なすぎて

国の規模も今やほぼ村だよな…

あぁ〜童貞捨ててぇ〜」

カルツも絶望感に浸っている

「あまりセックスしたいと思わない方が

いいぞ…

生物兵器とヤるために狂った信者を

何人も見てきた。

やっぱり切り落とすべきだ」

シナモンが冗談をマジにしてきた。

「あぁ本当に大丈夫だから

マジで…さ…やめて…よ?

それにそれに生物兵器とヤるって何?

キモすぎるし、それなら男とやった方がマシ」

カルツがオタクみたいに喋っている。

「そんな焦んなよ、シナモンも本気で切るわけ

ないだろ〜

そういえばさ…女しかいない村の事

知ってる?

キャンプタワーで聞いたんだけどさ

ブルースカートも男も皆んな拒絶して

女だけで形成された所があるんだって」

ふーんと興味ないフリをして普通に興味が

あるカルツが返答した。

「へ、へぇ〜その話をした奴は場所とか

そうゆう事言ってないの?

あ、別に興味はないよ」

カルツは分かりやすかった。

「場所か〜そういえば言ってような

でもな〜その後それを言った奴が男に犯されてた事のインパクトが強すぎて忘れちゃった」

てへっと髭面のブルースが皆んなをムカつかせる。

「あの…さっきから何話してるんです?

セックスってなんですか?」

パンプに聞こえてないと思っていた一向は

黙ってしまった。

「あ〜え〜セックスは〜あれだあれ

地動説と天動説を唱えた学者の名前だよ」

絶対に無理な返しをカルツがした。

「それ唱えたのプトレマイオスとニコラウス・コペルニクスですよ。

それにちんこを切るとか聞こえましたけど

地動説関係ないですよね…

隠さないで教えてください!」

パンプがさらに興味をもってしまった。

「おいパンプ!猫が死んだのに

ちんことか…ふざけるんじゃない!」

シナモンが理不尽にキレる

「え…あ…すい…ません」

パンプはしょぼくれてしまった。

「シナモン…さすがに可哀想ですよ」

カルツがコソコソとシナモンに注意する。

「セックスなんて…今の時代、知らない方が

良いんだ」

シナモンは愛のあるムチをパンプに浴びせた

のだ。

「それより…猫で思い出したんですけど

猫の弟がいたんだよな

あの教会の中に、

シナモン、猫の弟って死んだって

聞いたぞ?

なんか知ってるか?」

ブルースが急にシリアスな話題を出した

「…あ〜、猫の弟ね、あれは死体だ

意識のある死体。

キャンプタワーの改造人間もあれは死体だ

カボチャ帝国の技術力でリサイクルできる

事を重視した軍事力を目指してるらしい

まぁ…下っ端だからあんまり知らないけどね」

シナモンの代わりにカルツが話す。

「そうなんだ…知らなかった」

逆にシナモンは知らなかったらしい

「でも、リサイクルできるなら

女の死体もリサイクルできんじゃね?

良い事を思いついた」

ブルースが不気味に笑う

「やめとけよ…死体とヤるなんて、

病気になるぞ。

それに死体じゃあ勃たないだろ」

カルツはブルースにそう言ったが内心

できたら良いなっと思っていた。

「やっぱり、切るべきかな」

シナモンが呟き、二人は縮んだ

「そういえばさ、この世界って

色々な種族がいるじゃん、

別々の種族同士でセックスしたらどうなるん

だろうな」

ブルースがまだセックスの話題を続ける

「俺になるんじゃね」

カルツが笑う

「は?」

誰も何も発言の理解ができなかった

「だって俺、魔法使いと普通の人間のハーフ

だし」

衝撃の告白にシナモンも驚く

「え!?そんな奴、存在したんだ

じゃあお前のその力もそうゆう事なんだ」

どうゆう事かシナモンも分かっていない

「つまり、さっき言ってたのは例えじゃなくてほんとにお前も魔法使いなんだ…

親近感湧くな〜

でもハーフだから少し違うんだよな」

ブルースが一人でぶつくさ言っている

「そういえばシナモンの種族って

普通に人間?」

カルツがブルースを無視してシナモンに

質問する。

「いや…おれは「臓器」だ

教祖の種族が臓器系で母は人間だったから

俺もハーフだけどな」

皆んなポカンとしている

「臓器って初めて聞いたぞ」

カルツが驚いている

「そりゃあな、だって臓器系は

この星にいないからな」

シナモンがまたまた意味のわからない事を

言う。

「…つまり宇宙人って事?」

ブルースも混乱している

「ハァ…最初から説明すると

教祖ブルースカートは惑星「キューブ」

って所からこの星に移動してきた別の人種だ

B地区に飛来して、そこで自分は神だと

言いふらして見事に結構な人数が

騙されたんだ。

でも、ブルースカートは説法がありえない程

下手だったんだ

だから今の共産主義のクソみたいな布教が

生まれたってわけ」

衝撃の事実をシナモンはとても重大じゃない

一つの話題として話した。

「…知らなかったってか知れるわけねぇか

てかさそもそもあの宗教ってなんなの?」

ブルースが少しキレ気味にシナモンに聞く

「まぁ、最初から言うと

ブルースカートは教祖の「名前」だ

んで、ブルースカートを信じれば良いと

青いスカートを勘違いして履く奴らが

沢山増えたんだ。

それで皆んな青いスカートを履いている

ちなみに信者達が被っているあの被り物も

教祖の顔だ。

元々の臓器っていう種族は皆んな

ああゆう顔をしている」

新事実をこれまたあっけなくシナモンが

話す

「じゃ教祖の息子のアンタのその顔も

被り物じゃないのか?」

シナモンが被り物を脱ぐ

「いいや、別に被り物じゃないぞ

ただブルースカートに反逆する者って事で

白いスカートをはいてこの被り物を

被ってるだけ。

俺が教祖から引き継いだのは内臓操作だけだ」

二人とも味の濃い話ばかりされ疲れたようだ

「種族の話の広がりでとんだ新事実が

分かったな」

カルツが笑う。

次の瞬間!カボチャの底に穴が開く!

「きゃあ!あぁ馬鹿パンプ!300キロも

保たないじゃないか!馬を止めろ!」

シナモンがパンプに必死で頼む

「おい、パンプ!聞いてるのか!」

ブルースもパンプに怒鳴る

パンプはシナモンに怒られた後

泣き疲れて寝てしまったようだ。

「わぁあ!寝てる!

どうするこれ!どんどん崩れてってるぞ」

カボチャの馬車にヒビが広がる

そしてついに馬車は完全に崩壊し

3人は馬車から放り出されてしまった。

馬に乗っているパンプはそのまま馬に連れられて行ってしまった。

「パンプーーーー!!」

声虚しくパンプには届かない

3人は荒野に置き去りにされてしまった。

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