あなたの知らない物語

須恵村

はじめに

 歌手の中島みゆきさんはかつて、「1回フラれたら100曲書ける」という名言をおっしゃいました。

 漫画家の高橋留美子さんは、「体験してなきゃ傑作が描けない人は、才能がない」と一刀両断。

 イギリスの作家エミリー・ブロンテは、割と閉ざされた感じ短い生涯の中で、あの『嵐が丘』をものしました。


 実際それが創作者というものなのでしょう。


 ジョージ・オーウェルがエッセイの中で「根無し草のような人生を送っている人の書くものは薄っぺらい」という趣旨のことを書いているのを読んだこともあります。創作者とは――とか言っておきながらアレですが、これはこれで納得のいく意見でもあります。


 というよりも、しっかり地に足のついた生活をしているからこそ、体験の数そのものは乏しくなる可能性もあります。オーウェル自身は警察官勤務経験がある一方、ルポ記事を書くための放浪生活の経験もあるので、十分過ぎるほどみっちりした生涯だったと思われますが。


 そんなこんなで、「長い割に人生経験の乏しい私」にしか書けないものを書いてみたいなと考えて、18歳から20歳までの2年間を過ごした、ちょっと変わった学校生活について書いてみようと決めました。


 ついでに思い出したので。 『ラジオ深夜便』(NHK)の夢枕獏さんインタビューで、非常に感銘を受けた話があるのです(音源は2021年10月27日の「アーカイブス」のものなので、実際にはもっと前のものでしょう)。せっかくなので、できるだけ忠実に起こしたものを、次ページにてご紹介いたします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る