第16話 エリオット様との腐れ縁②
「いやあの、1人で帰れるので…」
「まあまあ、そう言わずに」
私は今、エリオット様と共に研究所の門へと向かっている。
「そういえばシェリーは、なんでこの研究所に来たんだ?お世辞にも貴族のお嬢様が来るような場所じゃないだろ。」
「あーそれは…」
私は今までの経緯をざっくりと説明した。
「プッ…フハハッ!!」
「笑わないでください…」
やっぱ話さなきゃ良かった。
「いやーだってよ、皇子にフラれて喜ぶやつがいるかっての!」
「う…でも、実際皇族と結婚なんてしたら何もできなくなるじゃないですか…」
「まあそうだな、好きな女の子たちと遊んだりできなくなっちまう。」
「あなたのそれと一緒にしないでください。」
「お、なんだ?嫉妬か?」
「なんでそうなるんですか?」
私はジト目でエリオット様の方を見る。
「だからそんな顔で見るなって。相変わらず冷てえなあ…俺はシェリーだけなのによ」
「ちなみにそういうこと言ったの何人目ですか?」
「んー50人くらい?」
「50人…!」
…50人の"女の子"に囲まれるエリオット様…
いかん、1周まわってちょっと見てみたい。
「やっぱり妬いてるんじゃ」
「いえ、ただの知的好奇心なのでお気になさらず。」
「もうちょっと乗ってくれてもいいじゃねえか…」ボソッ
「すみませんね、ノリ悪くて。」
「げ、聞こえたのかよ…」
「地獄耳なもので。」
「おう…てか地獄耳ってそういう意味だったか…?…ま、いいや。さて、着いたぞ!」
「えっ」
気づくと、私たちはもう研究所の門のところまで来ていた。
「もしかして俺と別れるのが寂し」
「送って下さりありがとうございました。」
「ブレないな……まあなんだ、気をつけろよ。」
そういうとエリオット様は微笑んだ。エリオット様は常に笑顔だったけど、今までのどこか作り物のような笑顔に比べると自然な笑顔な気がする。1番自然だったのは私の話を聞いて爆笑したときかもしれないけど。
「そっちの笑顔の方が似合ってますよ。」
「…え?」
「では、私はこれで。」
こうして私は馬車に乗り込んだ。
――――――
家に帰り、私は本を読もうと私室で本棚を物色していた。
コンコンッ!
「シェリーお姉様、いらっしゃいますか?」
するとリナがやってきた。
「ああうん、入っていいよ!」
ガチャ
「あの、お姉様…実は1つご相談があるのですが、よろしいでしょうか…?」
「相談…?」
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