第16話 大会1日目:団体戦予選①
「選手宣誓!」
「宣誓!私達――――――――」
あれから1ヶ月、今日はこれから1週間かけて行われる魔術大会の1日目である。今私たちは会場となる第一演習場、通称コロシアムの中心で他の代表者に混じって整列している。
代表に選ばれてからというもの、私、ジーク、アランの3人は日々修練を続けてきた。特に団体戦の方は3人の連携なくしては成り立たないので、互いの魔法や剣術、性格についてまでよく教え合い色々と策を練ってきた。策と言っても、段取りを事細かに決めたというよりは、戦うためのネタを蓄積したという方が正確かもしれない。
「あーやべぇ、なんか緊張してきた」
「うん僕も!緊張するよ緊張!」
「そのノリのどこが緊張してるんだよ!」
「今日もアランのツッコミは冴えてるね、将来が楽しみだ」
「俺は漫才師志望じゃねえ!」
「ほら、そんなことよりあそこでマリーが満面の笑みで手振ってるよ」
「え!どこだ??」
「ごめん嘘」
「っ~!くそっまたやられた!」
「アランは相変わらずわかりやすいね!」
私達は前よりも仲良くなれたと思う。結果アランいじりが常習化しているが。
「そんなことより!団体戦は今日だよな?」
「うんそう、1日目の今日が団体戦で、3日目と5日目が個人戦。」
「つまりアランは今日が山場だね!」
「おう!やるからにはとことんやってやる!」
「うんその意気だ!僕とカナは3日ともあるから長丁場だけど頑張ろうね!」
「うんそうだね」
団体戦も個人戦も、学年別のトーナメント形式で行われる。各学年クラスはA~H組までの8クラスまであり、団体戦は各クラス計8チーム、個人戦は8クラス×2人=16人で戦う。
団体戦は1位が160点、2位が140点、3位が120点、4位が100点、それ以外(つまり予選敗退)は70点である。個人戦は1位が90点、2位80点、3位70点、4位60点、準々決勝進出で40点、予選敗退で30点だ。賞は総合、団体戦、個人戦で各上位3組(個人戦は3人)に与えられる。
まあ要するに順位が高いほど多く点を貰え、点が多かったクラスが勝ちというわけだ。
なお、1回戦の対戦相手はクジで決まる。団体戦と個人戦の日程が空いているのは、他の日は他学年の試合があるからだ。
試合のルールは魔法使用可、武器持ち込み・使用可の割となんでもありだが、禁忌魔法・呪法・魔法具等の使用は禁止されている。まあそんなことができる生徒などまずいないと思うが。
勝利条件は先に相手全員(個人戦なら相手)を戦闘不能にするか、決められた枠の外に出すか、降参させるかのいずれかだ。制限時間は30分で、制限時間が過ぎても双方選手が残っていた場合はその人数が多い方が勝ち、それも同じなら審判が判定して勝敗が決まる。つまり引き分けは無しだ。
団体戦に関して言えば、絶対に相手を全員落とす自信があるならいいが、そうでなければ強いやつが1人でも残っていればいいという訳では無いため、チームの総合力が問われる競技だ。
私たちA組代表は他クラスと比べても地力は相当ある方だ。3人の得意とする分野はバラバラである。よくいえばバランスが取れているが、悪くいえば全員に統一化した戦略を取りづらいので、互いの能力の擦り合わせやその場での臨機応変な対応が重要になってくる。
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